【戯曲】引っ越したり
1、2左右からそれぞれ出てくる。
二人とも頭上に玉入れ用の籠を装着している。
二人の横にカラーボールを入れた箱があるか、二人がカラーボールが入っている袋を持っているかで、いつでもボールを投げられる状態にしておく。(どちらが相手の籠にボールを多く入れられるかという競技(?)をしている。)
会話をしながらそれぞれボールを投げ合う。
言葉を発する毎にボールを投げるイメージ。言葉とボールがリンクしている。
1は2の籠を狙って、2は1の身体を狙って投げている。
1「バイバイ」
2「バイバイ」
1「さよなら」
2「さよなら」
1「また会う日まで」
2「うん」
1「バイバイ」
2「バイバイ」
1「はいはい」
2「はいはい」
1「で、」
2「え?」
1「なんで、ちょくちょくワタシを狙ってるわけ?」
2「あ!」
1「あ!じゃねぇよ!ここ(籠を指差して)狙えよ!」
2「(頷きながら、籠を狙ってなげる)」
1「よし」
2「で」
1「え?」
2「いま、なんの話ししてたっけ?」
1「別れの挨拶!」
2「あ~」
1「忘れちゃった?」
2「うん」
1「あ~」
2「どっちがお別れだっけ?」
1「どっち?」
2「ワタシが引っ越すんだっけ?」
1「ワタシじゃない?」
2「だっけ」
1「忘れちゃった?」
2「うん」
1「じゃ引っ越せば?」
2「うん、引っ越そうかしら、」
1「…いや、ワタシが引っ越すわけよ、いまから、そのために昨日お別れ会したよね?忘れちゃった?」
2「うん」
1「じゃワタシのこともすぐ忘れるね」
2「…うん」
1「…………今日こそは勝つからね」
2「うん」
1「それからね」
2「うん」
1「引越をナメすぎね」
2「うん」
1、先に投げ終わる。2、最後の球を投げ、1の籠に入れる。
1「よし、数えよ」
1、籠を外そうとする。
2、1を見ている。
2「ねぇ」
1「ん?」
2「ずっと覚えてる」
1「うん…」
2「忘れないよ」
1「うんっ…」
1、顔を前に傾け、手で顔を覆う。
籠に入っていたボールが全てこぼれる。
1「あ」
暗転
おわり
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