リキッド・スカイ(映画)
サイケデリックな映像と音楽…しかしテンポの良い大久保健也の作品と違い、かなりダウナー。
そして、そのダウナーさが逆にジャンキーっぽい。失礼ながら、ジャンキーが作った映画じゃないでしょうね?と思ってしまった。
いや、別にそうだとしても良いんだけど。
サイケデリックな謎の映像が、度々挿入されるのだけど、それ以外でも役者のメイクや服装などが非常に鮮やかで奇抜。
そしてこの挿入されるサイケデリック映像が、エイリアンの視点であろう事が後から明かされる。
ヒロインのマーガレットは何をしている人なのかよく分からないが、どうやら駆け出しの芸能人らしい。
彼女は違法薬物の売人、エイドリアンと恋人同士。このエイドリアン、普通に美人なんだけど、笑った顔がチャッキーを思わせる。
あとエイドリアンは冒頭、クラブみたいな所でマイク片手に歌ってるんですが、嗄れ声で音程も外れており、歌詞も何か変で、鮮やかな色彩は何も無いシーンなのにサイケデリックに感じる。
このエイドリアン役のポーラ・E・シェパード、一人で男女の二役を演じたアン・カーライル以上に印象に残ったのだが、無名の女優だそうで検索しても全然情報が出てこなくて残念。
度々性的な加害に遭っていたマーガレットだったが、ある時自分と関係を持ち、性的快感を得た相手が消えるようになる。
そしてそれは、人間を食物とするエイリアンの仕業だった…
サイケデリックな映像や音楽もあってか、抑圧された女性が違法薬物で見た幻覚のような映画だとも思った。
この映画はマーガレットの幻覚ではなく、真実という設定なのだけれど。
最後屋上で踊り狂うマーガレットの姿は、この作品で最もサイケデリックなシーンだった。