
カンディンスキーに入門したい人がまず読むべき本 ~もっと知りたいカンディンスキー~
どうも皆さんこんにちは。
美術館が 2 割面白くなる解説です。
さて、皆さん一度は疑問に思ったことがありますよね。
このような不思議な絵画、何を描いているのかよくわかない絵画は何故生まれたのか。

今までこの絵を知らなかった人も気になったと思います。
この作品の制作者はなんでこんな絵を描いているんだろうと。
こんな絵画の始祖である芸術家カンディンスキーの生涯に迫ったのが
今日紹介する書籍 「もっと知りたいカンディンスキー」です。
簡潔にカンディンスキーの特徴を紹介すると、世界で初めてこういう意味わからない・何を描いているのかわからない絵画を描いた人間です。
こういう意味わからない絵画は、抽象絵画、非対象絵画なんかと言われます。現実世界のものを何も描かず、精神や感情のような形のないものを描いたので、このように呼ばれるのです。
このような抽象絵画ですが、このカンディンスキーが世界で初めて発明したと言われています。
なので皆さんが意味不明な絵画だなあと思った作品を見たら、このカンディンスキーさんが先祖にいる芸術なんだなあと思ってください。
さて、そんなカンディンスキーさんですが、最初からこのような意味不明な絵画を描いていたわけではありません。
というか、そもそも彼は最初から画家だったわけですらありません。
裕福な父の元、法学部を卒業、その後は教授にならないかとスカウトを受けるほど、エリートだったのです。
しかしそんな彼は 30 で突然大学教授のポストを蹴り、画家になることを決意します。
そこには、モネの積み藁という作品がありました。

モネというと睡蓮で有名 な画家ですね。

この作品の絵も言われぬ美しさに心を打たれたことで、画家になることを決意したのです。
そんな彼はドイツに移住すると、このような具体的な、何が描かれているのかわかるような絵画を最初は描きます。
しかし、だんだんと彼の作品は色彩が溶けていきいます。
だんだんと、形は抽象的な、単純化された造形になっていくのです。

そしてついに、ある時、この作品を境に彼は抽象絵画を創始し、何も現実世界のものを絵が書かないということを始めるのでした。
そんなカンディンスキーはその後、バウハウスという芸術学校の先生になったり、ナチスから目をつけられてアメリカに亡命したりと色々壮絶な人生を歩むのですが、それらが作品にどのように影響を与えたのか。
人生のターニングポイントと、その時期の作品が描かれているのがこの書籍なのです。
書籍の評価
薄くて情報が濃いです。
彼の人生、そしてその時々の作品について簡潔に述べられています。
例えば、彼の人生前半の作品はこのように美しい作品が多いのですが、このような作品をしっかりと述べてくれています。
また人生の後半の作品は、正直なところ全然知らなかったので新鮮でした。ジョアン・ミロみたいな作品描いているんだなーと新鮮な気分になれます。
またカンディンスキーの著作からの引用が多いのもグッドな点です。カンディンスキー自身の言葉から、カンディンスキーの思想に迫ることができます。
松本透先生という信頼できる著者であることも良い点です。
ただし、ボキャブラリーが少し難しい時がある。例えばコンポジション 6 の説明ではこのように述べています。
「ノアの洪水」の事跡は内面化され、白を背景に赤と青が沸き立ち、色彩と線が交響する世界へと蒸溜されたのである
うん、何言っているのかわかるようでわかないと思います。
「ノアの洪水」という聖書のお話を直接描いたのではなく、白色を背景に赤と青色を使って、色彩と線が交わるような世界で、そのお話から受ける精神的な感覚を描いたということがおそらく言いたいのだろうが、読解が難しい。
もうちょっと誰にでも分かるように簡単に書いて欲しい。
まとめ
カンディンスキーが気になった人には、絶好の真面目な入門書。
だけどちょっとアカデミック色が強く、言葉が固い。
簡潔だけど、簡単ってわけではないので注意。
ただしカンディンスキーの作品全体を俯瞰したい人にとっては絶好の入門書になりそう!
それでは b2 でした。