急な坂道はこれっきりです(山口百恵の聖地巡礼〜クラギ弾き語りマラソン26曲目)

ここでバンドを支えてくれている素晴らしいサポートメンバーを紹介させてください(は?)

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横須賀海軍カレー公式キャラクターのスカレー君です。カレーの公式キャラってどういうこと?ということの説明はこちらのページに丸投げします。

このツアー…もとい弾き語りマラソンに彼が加入することになったきっかけは、ドルが使える商店街、通称・どぶ板通りの土産物屋にフラッと入ってみたところ、横須賀市民にとってはお馴染みであるこのキャラぬいぐるみが目に入り、気づいたら買収してしまっていた、というものである。もうすぐ移住して1年経つので記念に買ったという事情もある。彼が来てからというものカレーを食べる頻度が増したような気がしています。

#26 山口百恵「横須賀ストーリー」(2021年11月4日撮影)

1年記念ということで昭和歌謡のレジェンド・山口百恵の曲に挑戦してみた。自伝的著書『蒼い時』を読むに彼女にとって横須賀という土地はとても重要な位置を占めているらしい。懐かしい故郷でありながら米軍基地が陰をもたらし、さまざまな面をもつ横須賀…それを主題とする「横須賀ストーリー」を演奏するにあたって、私は事前準備として、歌詞に登場する「急な坂道」を実際に駆けのぼってみた。そしたらめちゃくちゃきつくて泣いた。

息がシューシューうるさいがマスクをつけて走ったせいである。体感としては坂の傾斜は渋谷・道玄坂のそれの約3倍・・・は言い過ぎだが、運動不足の成人男性が駆けのぼるにはあまりに急な坂だった。

で、駆けのぼってみた結果、歌詞にあるとおり海が見えたのだが、この動画を撮る前にその景色を一度見ていたのでそれほどの感慨がなかったのが正直なところである。とはいえ中心街からは少し離れたこの坂が帯びている物寂しい雰囲気や、戦没者慰霊塔や砲台跡といった戦争を想起させるスポットを内包する坂の上の公園から見渡す海の景色のダークな側面というものを体感することができたのは大変貴重な体験である。今回の「横須賀ストーリー」のカバーにあたっては、そのときに感じた雰囲気を思い出しながら深みを意識して歌った。

「これっきりですか」という疑問形の歌詞であるが、山口百恵の歌声をきくと、これっきりだと自分で分かっているうえで発せられる諦めにも似た疑問文であるように感じられる。なので私もそのニュアンスを出すように努めた。あとはさっきの坂の雰囲気とか、自分との相性があわないがゆえにもう連絡を取れない/取らないだろうなという人を思い浮かべつつ、息の量をかえて深さのあるドラマチックな歌になるように意識した。

切々と訴える雰囲気をもちつつも、ただの恨み言にはない、「これっきり」であるという事実を一歩引いて俯瞰的にちょっと突き放すように歌うようなイメージ。それを山口百恵の歌に対しては感じていたので、そのイメージに沿って私自身も歌うように意識した。声質もいろいろ試したが、やはりこの曲は山口百恵ならではの曲なので、本人に寄せて、鼻腔共鳴を減らして暗いボテッとした声をつくってみた。

結果としては、声色はよかったが、ちょっと息の量が多くて軽い感じがするので、もっとどっしりとしっかりした発声ができたらよかったかなと反省している。あとはピッチが上ずらないよう意識するあまり最初のサビでピッチが下がりすぎてしまったのでそこが反省である。

ギターに関しては、コスパ重視のアルペジオである。ジャジャッジャッジャジャ!というサビ前のフレーズはコード引きで再現した。3回目はミスってしまったが、勢いは出せたので許容範囲におさまった。

ギター伴奏に関して今回得られた重要な気づきとしては、アルペジオをしっかりと歌わせることの重要さである。「ここは横須賀〜…」というメロディの裏で鳴らしたのはただのAmのアルペジオだが、この響きがとても切ないことに後から気が付いた。撮影時何も考えずに引いてしまっていたので、こういう大事な箇所では単純なコードであったとしてもそのサウンドでしっかりと聴き手を魅了できるように弾かなければならないな・・・と気が引き締まった。そしてそんな気づきが得られたのは、やはり楽曲が素晴らしかったからこそだろう。何も考えずに鳴らしたただのAmが自分でこんなに切なく聞こえるとは・・・楽曲自体がもつ魅力としか言いようがない。そして弾き語りというスタイルを選んだ以上、歌だけでなく伴奏にも彩りと魂を宿らせなければならない。今後の新たな課題でもありつつ、今後伴奏に取り組むうえで楽しみな課題でもある。

全体的な振り返りとしては、大枠はよかったものの細部で至らない点がいくつかあったので「もったいない」の一言に尽きる。横須賀市民でありながらとても悔いが残る結果になったので、山口百恵の曲には今後も挑戦したい。言い忘れたがサングラスなんかつけちゃったのは私が山口百恵のように真顔で歌ってもサマにならなかったからである。今後も自分の表情に困ったら積極的にサングラスに頼ろうと思う。

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撮影の数日後、山口百恵もかつて来ていたという「中居パン店」に行ってみた。写真は名物メニュー「ポテチパン」である。ポテチもさることながらマスタードの辛みが効いたドレッシングが西日本出身の濃い味漬けの私の舌にはぴったりだった。

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横須賀中央駅からバスで10分ほど離れているのでアクセスは若干しづらいが、機会があればまた食べにいきたい。ほかにも軍港巡りクルーズに乗ったりして横須賀を満喫したそんな私はちょうど本日、横須賀生活2年目に突入した。かなりこの地に愛着がわいているので、今後どれだけ長く住めるかはわからないが、これっきりで終わらせることなく街の魅力をこれからも味わっていきたいものだ。横須賀で見つけた変なもの日記とかいくらでも書けそうなので今後書けたらいいなと思う。

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