慣れない土地で暮らすこと、心の安定

新天地での生活を始めてから、すでに半年以上の月日が流れた。
周囲の環境の目新しさは薄れ、全てが平凡な日常に感じられるようになった。
ここに来てから、自分の心の安定について考える時間が増えた。
それは、一人の時間を持て余しているからである。

この土地に思い入れなど全くない。ただ、パートナーとの都合を考慮して話し合った結果、移り住んできただけだ。
「知り合い」はいるものの、気軽に遊びに出かけられるような友達は1人もいない。
一方、私のパートナーはとても行動力のある人で、新しい場所でもどんどんコミュニティを開拓して友達と楽しむ人。毎日忙しくて充実した日々を過ごしている。
心の健康に良いのは彼のライフスタイルだと思う。
何日も彼とだけ過ごした後に、別の人に会って15分だけでも話す時間があると心が安定してくる。
あらためて「コミュニティに属すること」の大切さを実感する。

私のパートナーのような人柄を持つ人は、「じゃあ自分の興味あるコミュニティを探して入ってみたらいいんじゃない?」とか「知り合いの人を何かに誘ってみたら?」などとアドバイスをくれるが、それが簡単にできる性格なら心の安定なんかについて考えることはない。
自分の欠点や弱さについ目を向けてしまう。将来を憂いてしまう。

人生の中でこんなに自分ひとりの時間があって、こんなに自分のことだけを考える時間が今まであっただろうか。
自分で何かしらの予定を入れて忙しくしていたり、ただ単に課題や仕事で忙しかったり、立ち止まることは選択肢になかったように思う。

不確定な未来を憂うことなく、生きているその瞬間瞬間を楽しむこと。
自分ひとりでやろうとするとこんなに難しいことなのか、と新しい発見だった。

まあ、孤独と暇を持て余すのも悪いことばかりではない。
自分の新たな道を考え、それに向かって行動するきっかけにもなった。
持て余していたエネルギーは、新たな道を切り開くために使っている。

いわゆる「普通」の人生、仕事を頑張って昇進したり、結婚したり、子どもを授かったりと毎日を忙しく過ごしているであろう友人たちの話をたまに聞くと、なぜか自分の今の生活と比べてしまい、落ち込む。
比較する必要はないと分かっていても、その考え方がこびりついている。

この土地で暮らす期間は限られている。
自分の心の闇とうまく付き合いつつ、自分の楽しいことをして、美味しいものを食べて、深呼吸をして残りも生きる。


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