擬似リモートワーク

大学院卒業に向けて、毎日ひたすら修論執筆に取り組む日々。
すべての授業が終わっていて残るは修論執筆のみのため、大学の仲間たちはほとんど自国へ帰ってしまった。
私も大学のある土地にいる必要はないなと思い、引っ越した。
パソコンと周辺機器さえあればどこにいても執筆可能のため、引っ越し先ではほぼ自宅の机に向かっている。
本業では絶対に味わえない、リモートワークという働き方を擬似体験しているような気持ちだ。

今は働いておらずフルタイムの学生であり、最近住み始めた土地にはほとんど知り合いもおらずという状況、さらにどちらかというと引きこもり体質なこともあり、外に出るのはせいぜいスーパーに買い出しへ行くか近所の公園へ散歩に行くかというところだ。
この土地に留まる期間もたった数ヶ月と限りあるため、新たなコミュニティに顔を出してみようというやる気もあまり起きない。そもそもコミュニケーションには(親しい人相手であっても)めちゃくちゃエネルギーを消費してしまう。

リモートワークの経験がないので「世の中のリモートワークの人たちはどんな一日を過ごしているのだろう?」と気になり、検索してみた。
好きな時間に家事をしたり、音楽をかけながら仕事をしたり、意識的に一回は外に出てみたり(あるいは全く外出せず数日たったり)と、自由に過ごしているよう。

なんでもかんでも「こうあるべき」と自分で自分にルールを課して自分の首を締めるタイプの私。
ずっと家にいるなんて健康的じゃない!今日こそは外のカフェで作業をしなきゃ!
平日は必ずこの時間まで勉強しなきゃいけない!
人と会わずずっと室内にいるのは悪いこと!
こんなふうに考えて、誰かから自分の生活を批判されることを恐れて、自分の心身の状態よりも他人からの評価を気にして行動しようとしてしまう。
誰も私の擬似リモートワーク生活を批判する人なんていないのに。
自分が良ければ良いのに。

修論を書き終わって社会人に戻れば全日通勤になって、この「家で仕事ができる」感覚は仕事柄絶対に味わえない。
今、好きな時に散歩に行けて、コーヒーが飲めて、始業も終業も自分次第の贅沢な環境を味わい尽くしたい。

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