29歳、終焉を考える。
19歳の時、同級生が大学や専門学校に進学する中、わたしは進路が決まらなかった。とりあえず、ホテルの和食レストランでアルバイトを始めて、3ヶ月間で辞めた。
わたしは働くという概念がわからなかったので、仕事ができなかった。
学生時代に関わらないタイプの人とどう接していいか、自分の中に引き出しがなく、馴染めなかった。強気な雰囲気の人たちが、学生時代、わたしをいじめてきた人を彷彿とさせた。わたしは誰にも必要とされなかった。
何もできない自分は、同級生に合わせる顔も、働くための知識もなかった。
弟は自閉症で、この先の自分の人生を考えたら、明るい未来が見えなかった。両親は、はっきり言って頭が良くなかったので、子供に対しての適切なケアが取れていない家庭環境だった。
でもまぁ、死ぬ勇気はなかったから、とりあえずアルバイトで5万円は稼げたので、そのお金で中古のノートパソコンとペンタブを買った。
自分の部屋でお絵描きして過ごした。朝まで描いて、お昼過ぎに起きた。その繰り返し。
「あんた!仕事じゃないんだから、こんな遅くまで辞めなさい!」と母親に言われた。
たしかに仕事じゃないけど…でもお絵描きを辞める理由にはならなかった。
とりあえず、お絵描きして、ネットにあげて、いいね!をもらうのを生きがいにしていた。
「成人する前に死んだら、カッコいいな!」そう思って19歳を過ごしたけど、まぁ死ねなかった。
29歳。
今のわたしは、19歳の時と比べたら、とても幸せになった。
まずは「疲弊している自分」に気づいてあげて、心が回復してから勉強を始めた。そうすると、自分で「選ぶ」という概念が理解できるようになった。
現在は、まわりに友人が増えて、しかも一緒に働くまでになった。わたしが知らなかった「信頼関係」というものを経験することができている。
30歳になる前に死のうかと思っていたけど、もうしばらくは、楽しく生きようかと思ってる。
自分の終焉を考えたら、人生が明るくなった。
いつか終わるのだと思えば、楽になった。