精索静脈瘤手術の麻酔
私は男性不妊を専門にしている泌尿器科医です。
今年は約100例、顕微鏡下低位結紮術を執刀予定です。
執刀する病院の体制によって、局所麻酔・局所麻酔+静脈麻酔・局所麻酔+全身麻酔を使い分けています。
私自身が手術を受けるのであれば、注射嫌いの超怖がりなので局所麻酔+静脈麻酔or全身麻酔。局所麻酔であっても上手にやればあまり痛くはないのですが、音が聞こえたりするのは怖いです。医療的な処置を受けるが得意な人は局所麻酔単独でも術者が上手なら問題ないと思います。
そもそも麻酔の種類知らんって方へ
・局所麻酔:歯医者の麻酔や切り傷を縫うときの麻酔です。意識はあるまま、処置する部分に注射をして痛みをとる麻酔。
・静脈麻酔:大腸内視鏡などで行う麻酔。点滴から眠り薬が流れて、意識がなくなります。
・全身麻酔:入院でやることが多い麻酔です。麻酔科専門医が頭の横に立って、気道にチューブを入れ人工呼吸器に接続して麻酔します。当然意識なし。
顕微鏡下低位結紮術の痛みポイント(OOメソッドも同じ)
・皮膚、皮下:これはどの外科がやっても局所麻酔で痛みを簡単に取れます。
・精索を持ち上げるとき!!!
これが慣れていないと激痛です。脂肪に埋もれているので、精索が見つからない!麻酔の利かせ方がよくわからない!など、慣れていないと難しいです。
この後、顕微鏡を導入して血管を処理していきますが、これ以降はほぼ無痛です。
意識がなくなる、静脈麻酔や全身麻酔であれば上記の痛み感じる可能性はゼロです。(薬を入れる点滴を刺す痛みはあるけど)なので、私自身が受けるなら意識がなくなる麻酔希望です。
局所麻酔であっても、ほぼ無痛にすることは可能。
麻酔テープ使用。極細針を使用。麻酔の温度を調整してゆっくり注入。
精索内で痛みの神経が多いのは精管周囲なので重点的に利かせる。
小さい傷で処置を終わらせる。解剖の理解。など、、、、
でも痛みの感じ方は個人差が大きい。
痛みに配慮しながら繊細な手術をするのも難しいので、意識をなくす麻酔の方が術者目線では嬉しいです。さらに、麻酔科専門医が枕元にいて全身状態をコントロールする全身麻酔であれば、アレルギーによるアナフィラキシーなど万が一の事態でも安心。
医療が超こわい私以外の一般的な人への推奨
執刀医が上手ならどれでもいい。
体へ負担が小さいのは、局所麻酔単独。
痛みがとにかく少ないのは、意識をなくす麻酔。
上記どの方法であっても保険適応・日帰り手術で行っている病院はあります。