無精子症

私は男性不妊や性機能を専門にする泌尿器科医です。今年は男性不妊の手術を120件程度は執刀する見込みです。

無精症=精子がいない。

射精した出てくる液体=精液、はほぼ前立腺液。精子がボリュームに占める割合はとても低いです。

精液が出ていても、その中に精子がいるかどうかは顕微鏡で拡大してみないとわかりません。これが、精液検査です。

精巣が精子の工場
精巣上体=副睾丸で精子が成熟
精管を通って
前立腺、精嚢→射精管→尿道を通って射精します。

無精子症は2パターンあります。

・閉塞性無精子症
精巣=精子の工場は大丈夫だけど、通り道が塞がって出てこない

・非閉塞性無精子症
精巣=工場がダメで作れてない

両方とも子供を作るためにはTESE(精巣内精子回収術)という手術と顕微授精を行うことで、子供ができます。

(閉塞性無精子症では精路再建というオプションもあり、私も行いますがあまり普及していないのと、話がややこしくなるので別記事で)

TESEは局所麻酔・日帰りで行うことができます。(全身麻酔の病院も多いです。)TESE手術手技の詳細は別記事で。

閉塞性無精子症は、精巣内で精子がたくさん作られているので、少し切開すれば簡単に精子を回収できます。conventional TESEまたはsimple TESE。MESAといって精巣上体から回収する流派もあります。5-10分ぐらいでできます。回収率もほぼ100%

非閉塞性無精子症では、精巣内での精子の産生に問題があります。

しかし、精巣のすべての場所で精子が作られていないわけではありません。

精液中に精子が出てくるには、何千匹も作られていないと出てきません。無精子であっても、何千匹には及ばないけど少し作られていることがあります。

micro-TESEまたはMD-TESEでは、顕微鏡を使用してわずかに作られている精子を回収します。回収率はタイプにもよるのですが、ざっくり30%ぐらい。手術時間は30分-2時間。

回収率は術者の経験と培養士(精子や卵子を扱う専門職)の技量にかなり左右されます。

閉塞性だと思って手術を始めたら、実は非閉塞性でsimple→microに移行することが5%ぐらいあります。

術前にざっくりと予測します。
ホルモン異常あり、精巣サイズ小だと非閉塞性?ホルモン正常、精巣サイズ大だと閉塞性?

また、AZFやgbandといった染色体、遺伝子検査も行います。この辺りの話は、ややこしいので別記事で。

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