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「ス」問題と「ド」問題(しかし、私の話はどこに着地するんだ?)
私が20代の頃、勤めた職場は介護施設だった。そこで、ソーシャルワーカーをしていた。事務所にいるのが、嫌だったからヘルパーの人の休憩室でお昼を食べていた。ヘルパーさんは巨大なおばさまが多かった。私もこの職場で(横に)大きく育ちました。
大きな方はみんな『シーマックス』というジムに行っていたんだけど、おばさま達はみんな「シーマックで、シーマックが」と言う。
これが『ス』問題です。
(みんな、ジムの帰りに『ラーメン大統領』で、ラーメン食べてたから、何のためにジム行ってんのか)
トーコさんもスターバックスのことを「スターバック」と、言っていた。
うちの母は、マックスバリューのことを「マックバリュー」、薬のマックを「薬のマックス」と、言う。どこに「ス」を持っていっているのだ?
マダム達は「ス」が適当だ。
マック、マック言うんで、次は「ド」問題。
私がマクドナルドのことを「マック」と略すと、父は大阪で育ったものだから、「気持ちの悪い言い方をするな!」と、言っていたものだ。
大阪では「マクド」と略す。
(でも、『マック・ドナルド(ドナルドさんの息子)』と言う意味の店名だから、『マック』で、いいのではないか? 実はどうでもいいけど)
父は『ド』が多い人だった。「車がトロトロ走っている」と、言うような場面で、「車が角から『ドロドロ』っと、出てきた」などと言う。車が溶解しているかのようだ。
母は着道楽なところがあり、服が大好きだ。着物も好き。若かりしある日、ダーク目の色合いの服を着て、父に見せて感想を求めた。父は「えらい『ど黒い』服やな」と、言ったそうだ。母は「そんなに汚らしいの?」と、思った。
父は、母が作る味噌汁の味が気に入らなかったらしい。本人には流石に言わなかったが、私に「ドブ水みたいな味がする」と、言っていた。これは、さすがに酷くないか?
父は外見がシュッとして都会的なので、そういう発言をしそうに見えない。無口な人だったが、たまに口を開くと、言葉がどぎつくてビックリしてしまう。
大阪の方は「ド」を多用されるのでしょうか?
(そういえば、ドン・キホーテはどこの会社なのだろう。商品にいっぱい『ド』がついている)
余談:北海道だったかな? 「ドンキ」は「ドンホ」って略すらしい。理由は「びっくりドンキー」があるから。でも、U県も両方ともあるけど、ドン・キホーテは『ドンキ』と、略すような気がする。びっくりドンキーの数が少ないからかな?
父が「マクド」にこだわると、こっちは「面倒臭せぇな」と、思ってしまう。だから、私もマダム達の「ス」を気にしてはいかんのだ。
また余談:昔のバイト先に『歯垢』と『歯石』の違いかわからない子がいて、みんなで歯医者の話をしているときに、その子の発言がめちゃくちゃだったから、1回1回訂正してあげた。そしたら、その子には嫌われなかったけれど、周囲の子にめちゃくちゃ嫌われてしまった。てへ。
私って、こういうところがあるんだよね。空気が読めないから、ずーっといじめられっ子だった。でも、人はどこからでもやり直せるし、私も昔と比べれば、多少ましになったと、思いたい。
父のこだわりはちょくちょく会話を止めさせた。「たまごサンド」とか「ところてん」とか、キーワードがある。
当時は父が何を言っているのか理解できなかったけど、「ケンミンショー」が始まって、いろいろ解決した。しかし、父は家族の中で浮いていた。
(今は私が浮いている)
たまごサンドは卵焼きが挟んであるのが、たまごサンドだと言うし、ところてんは黒蜜をかけるのが正しい、というのが父の言い分だ。
個人的に好みだけで言えば、葛切りは黒蜜でいいけど、ところてんに黒蜜だと、生臭く感じる。私は、ところてんは「酢醤油」派だ。(あれ? 『ス』問題?)
「ス」問題と「ド」問題はここで終わり。
U県は平地が多いから、昔からテレビの映りがいい。言葉は大阪に近いけど、テレビの影響で、感覚は東京の影響を受けているのではないか? U県の西の方は、岡山の放送が入り、東の方は大阪の放送が入る。ニュースは「岡山、U県のニュースです」と、ひとくくりにされている。(私、テレビっ子だから)
母は、昔、東京にいたことがある。大阪にかぶれた父と、東京にかぶれた母に挟まれて、家庭内が異文化交流だった。いや、東西問題なのかも、知れない。
私は愛媛県にいたことがある。ある日、友達3人でいるとき、私が「セブンイレブン、いい気分」と、歌った。愛媛出身の子に「何言ってんの?」と、つっこまれた。昔、四国にはセブンがなくて、愛媛ではセブンのCMが流れていなかった。横から、大阪出身の子が「セブンのCMソングだよ」と、フォローしてくれたけど「なんで四国にセブンがないのに、CMソング知ってんの?」と、訊かれた。U県では、セブンのCMが流れていたからだ。愛媛に行くと、チャンネルが減って、ガッカリしたのも思い出だ。(私、テレビっ子だから)
このように私を『テレビっ子認定』した人がいる。(深く傷ついています)愛媛にいた時、お世話になった、数歳年上のKさんだ。Kさんは、ある時無邪気に「さらきさんはテレビっ子なんだよ」と、言いふらした。他には、私が愛媛に行ったばかりで孤独な時にKさんの部屋に遊びに行きたがったことがあった。そして、Kさんにもうちに訪問してもらった。そうしたら、それも仲間内で言いふらされてしまった。Kさんは、全く悪気がない。でも、私は恥だと感じた。
Kさんは、明るく社交的で、みんなに人気。無邪気で悪意がない。私より大きな女性だが、彼氏を欠かしたことがない。性格も顔も可愛かったからだ。彼女を悪く言う人はいなかった。
彼女は大学卒業すると、すぐにお嫁に行った。年賀状も来ていたが、鬱陶しかった。彼女は子どもに恵まれなかったみたいだ。でも、旦那さんに大切にされているらしく、ある日私が山下達郎のラジオを聞いていたら、誕生日おめでとうメッセージを送られていた。名前は読み間違えられていた。今はだいぶ痩せられているみたいだ。
今、思えば、私はKさんが嫌いだったんだな、と思い出す。年賀状はいつからか(無視したか、しつこくラジオのことを書いたか、したような気がする)来なくなった。嫌いだけど、いい人だし、別に不幸になって欲しい訳でもない。でも、本当は嫌いだったんだ、としみじみする。いい人も嫌いだって、いいし、嫌いだと認めて、スッキリした。