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残虐動画の共有と「こんな目に遭えばいいのに」というSNS発言の危険性と有害性

「残虐な動画を見て、誰かに同じ目に遭わせたい」と思う危険な心の動きに気づいていますか?

SNSで目にする残虐な動画。心を痛めるはずのそれを共有し、さらには「こんな目に遭えばいいのに」と発言する人が増えていることに気づいたことはありませんか?その行動の背後には何があるのか、そしてそれが私たちの社会にどんな影響を及ぼしているのか。

この記事では、残虐動画を共有し、暴力的な発言を拡散する行為がいかに危険で有害かを、心理的・社会的・法的観点から深掘りしていきます。その背後にあるメカニズムを明らかにし、あなたが「知らずに加担する側」に回らないための理解を深めていきましょう。


残虐動画を共有する行為の心理的影響

トラウマと心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスク

残虐な動画を視聴することは、精神的に強いショックを与える可能性があります。視覚と聴覚を通じて直接的な暴力を目撃すると、人間の脳は「危険信号」として強く反応し、それがトラウマの引き金になる場合があります。特に、心理学者のジュディス・ハーマン(米国の精神科医でもある)が指摘したように、暴力映像に繰り返しさらされると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす可能性が高まります。

さらに、これらの動画を共有することで、他者にも同様のトラウマを与える結果となり、共有者自身が心理的加害者になるリスクを伴います。

社会的認知の歪みを助長する危険性

残虐なコンテンツを共有することで、視聴者の中には暴力行為を「普通のもの」として受け入れる人が現れる可能性があります。社会心理学者アルバート・バンデューラの「社会的学習理論」によると、人は他者の行動を観察することで、その行動を模倣しやすくなります。つまり、残虐行為を目撃した人が、それを正当化し、さらなる暴力を促進する危険性があるのです。

SNSにおける「こんな目に遭えばいいのに」という発言の拡散力と影響

デジタル空間での暴力の助長

こんな目に遭えばいいのに」というSNSでの発言は、ただの言葉では済みません。言語行動の研究者ジョン・オースティンの「言語行為論」に基づけば、言葉は単なる意思表示にとどまらず、実際の行動や感情に影響を与える「言語的行為」としての力を持ちます。

こうした発言は、読者やフォロワーに対して暴力的な価値観を植え付けるだけでなく、特定のターゲットへの実際の攻撃行動を誘発する可能性があります。

ヘイトスピーチとサイバーブリングへの発展

「こんな目に遭えばいいのに」という言葉は、簡単にヘイトスピーチやサイバーブリング(ネット上のいじめ)へとエスカレートすることがあります。特に、インターネットの匿名性によって、多くの人が倫理的責任を感じにくくなるため、このような発言がエスカレートしやすい環境が整っています。

社会的モラルの崩壊と連鎖的な暴力行為の増加

暴力の正当化による社会規範の低下

残虐動画の共有や暴力的な言葉の拡散は、社会全体の暴力容認文化を助長します。これにより、暴力を目撃しても他者がそれを非難しなくなる「傍観者効果」が強まることがあります。この現象は、1964年に起きたキティ・ジェノヴィーズ事件をきっかけに心理学者たちが研究を始めた問題でもあります。

若年層への悪影響

特に、SNSを活発に利用する若年層においては、このような暴力的コンテンツや言葉が「かっこいい」または「注目を集める手段」として受け取られる危険性があります。青少年の行動は、同年代の模範や流行に影響されやすいという研究結果もあります。

残虐動画共有と暴力的言動の法的問題

違法コンテンツとしての扱い

多くの国で、残虐行為を記録した動画の共有は違法とされています。例えば、日本では「わいせつ物頒布等罪」や「名誉毀損罪」に該当する可能性があります。これに加え、SNSの規約違反によりアカウント停止や法的措置が取られるケースも増えています。

発言がもたらす法的リスク

「こんな目に遭えばいいのに」という発言が、特定の個人を対象にした場合、脅迫罪や名誉毀損罪が成立する可能性があります。また、対象者が心理的苦痛を受けた場合には、損害賠償請求の対象となることもあります。

SNSにおける倫理的責任と対応策

SNSユーザーの責任

SNSは情報発信力が強いメディアであるため、発信者にはそれに伴う責任が求められます。「言葉の自由」は憲法で保障されていますが、他者を傷つけたり危険を助長したりする自由ではありません。

視聴者の対処法

残虐なコンテンツや暴力的な発言に遭遇した場合は、無視するだけではなく、SNSプラットフォームに通報することが重要です。特に、暴力行為や犯罪行為を助長する内容は即座に削除対象とされるべきです。

デジタル社会におけるモラル再構築の必要性

社会的教育と意識向上

教育現場や地域社会での「デジタルモラル教育」が求められます。人権や尊厳の重要性を理解し、デジタル空間でもそれを守ることの重要性を学ぶことが必要です。

テクノロジーによる対策

AIを用いた違法コンテンツの検知や有害発言のフィルタリングは進化を続けていますが、人間の意識改革も同時に進める必要があります。

結論:SNSの力を正しい方向に使うために

残虐動画の共有や暴力的な発言は、社会全体に深刻な影響を及ぼします。これらの行動を止めることは、単に規制を強化するだけでは不十分であり、個人一人ひとりが自分の行動の責任を理解し、倫理的に正しい選択をすることが求められます。私たち全員が、暴力や憎悪の拡散を止める一翼を担うべきです。

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