どん底の日のラザニア
04.21
今日は朝起きた時からずっと、心も身体もどんよりと重かった。そういえば昨日の夜も帰ってきてすぐ疲れて寝てしまって、洗い物も脱ぎ捨てた服もそのままにしてたなって思い出して余計に憂鬱になってしまった。
私の性格は良くも悪くも波に乗りやすい。多少無理やりにでも始めてみたら段々とその気になって続けられるけど、一度悪い周りになるとずるずると落ち切ってしまう。昨日の私も、何か致命的なことがあったわけではないけど手続きのために行った先でたまたま当たった職員さんがものすごく冷たくて少し凹んだこととか、散歩しながら帰ろうと思っていた所に急用が飛び込んできて仕方なくバスに乗ったこととか、課題が山積みで追い込まれてることとか、新学期だから頑張らなきゃって気負いすぎてたこととか、洗い物も洗濯もできてないなとか、一つ一つではなんてことないマイナスが少しずつ積み上がってきて、ぷつんと糸が切れたのだと思う。
半年程前から恋人と一緒に暮らし始めた。
家に人がいるって、しんどい時もあるけど有り難いことの方が多い。私が頑張れない時、恋人はいつも完璧にサポートしてくれる。今日もあれほどやらなきゃと思い続けて出来なかった洗い物をパパッと片付けてくれて、お風呂も沸かしてくれた。
ぐずぐずと言ってしまう私のこと、めんどくさがったりせずに適度に話を聞いて慰めてくれて、"おぉちょっと落ち着いた?ほんならお風呂入ってあったまっといで〜" って頃合いをみて切り替えるきっかけを作ってくれる。
いつもはお風呂に入ればたいていのことは大丈夫になるけど、今日はそれでもだめだった。そしたら今度は "お昼ごはん食べにいこか!前一緒に行ったあそこはどう?" と誘い出してくれた。そのお店はふたりで住み始めたその日に、私の誕生日祝いも兼ねて恋人が連れて行ってくれた思い出のお店。私はそこのラザニアが大好きで、そろそろ食べたいな〜とちょうど思っていたから二つ返事でついて行くことにした。
これがそのラザニア。もう美味しくて美味しくて、嫌なこと全て吹き飛んでしまった。
あんなに沈んでいたのにこんなことで、と思うけどこういう時こそラザニアが一番だなと思った。美味しいものを食べるとお腹よりも心が満たされる。
そして食事の間もずっと恋人の優しいまなざしに守られて、沢山楽しい話をして、それも含めて幸せな時間だった。ひとりだったらきっと雨の日にわざわざラザニアを食べるために外出できなかったし、きっと辛い気持ちと一緒に閉じこもってしまっていたから、連れ出してもらえて本当によかった。
お目当てのものを食べてすっかり元気になったから、帰りに本屋さんに寄って好きな作家さんの画集を購入した。恋人も気になる一冊に出会ったみたいで、2人で本を雨から守りつつゆっくり帰った。
すっかり元気を取り戻した私をみて、恋人が "元気になって本当よかった〜よかったね〜" とニコニコしてくれて、私まで嬉しい気持ちでいっぱいになった。自分の状態を気にかけて、そばに居てくれる人がいるって本当に幸せだ。その気持ちだけで自分の辛さを半分持って行って貰えたような感覚になる。特に恋人は、母を亡くして大学はおろか外にも出られず夜も眠れずただひたすら泣いていたどん底の時期に支えてくれた人だから、本当に心強い存在で。未だに大学やバイトに行けただけで、本当にすごいね、頑張ってるねって褒めてくれるし、ダメになってしまった時もちょうど良い距離感で気にかけてくれる。そんな存在が一番近くに居てくれること、当たり前じゃないし本当に有難いことだなって改めて感じた一日だった。
そんな恋人にありがとうの気持ちを込めて、今夜は彼の好きなカレーを作った。どんなものでも美味しく食べてくれるけど、今日はいつも以上にバクバクと美味しそうに平らげてくれた。
食後は温かいお茶でも淹れてのんびりと、今日買った画集を読もうと思う。
今日はどん底だと思っていたけれど、全然そんなことなかったな。ひょんなことで気持ちは立て直せるし、また辛くなった時はあのラザニアを食べに行こうと思ったらなんだか大丈夫な気がしてきた。
明日からはまた連勤だから、お仕事モードに気持ちを切り替えて頑張りたいな。