大きくて古い家に住むコツ
「適当に愚かに暮らすこと」
夫がそう言いました。
庭の片付けは永遠に終わらないし、畑から竹林にかけては住んでた家族による合法(敷地内)な不法投棄が溢れているし、山と家の間の溝は掃除をしても一週間もすれば落ち葉で満ちる。
私の今住んでいる家はそういう家だ。
トイレの前の廊下にはいつも大きな木の板が立てかけてあった。
なんなんだろうねこれ。
のけてみる。
暴言と説教と穴である。
聞けば当時住んでいた夫の兄が殴って壁に穴をあけ、祖母が怒って書いたらしい。
そこに書くんだ?本人に怒るだけではなく?
見る度に思い出すようにだろうか。
下の方の文字ではないものはなんだろう。チューリップかな。和みの雰囲気を?
まあ壁に説教が書かれているのは面白いのでどうでもいいとして問題は穴。
なんか虫とか出てきそうで私はものすごく嫌だ。虫がさして苦手ではないとは言え本当は出来るものなら見たくない。
穴を塞ぐことにした。
100均で買った壁紙補修シールで直す。100均でそんなものがあるのがすごい。万能なのか。
壁紙が剥がれている形に補修シールを切って貼る。それだけのことが私には上手く綺麗に出来ない。
よし、めんどくさい。
頭の中に浮かんだのは夫の言った適当に愚かにというコツ。
出来た。
花柄の壁紙と白い壁紙のマリアージュ。
穴の所がへこんで明らかに少しある隙間。
本当は綺麗に完璧にしたいけど、私にはどうにも難しい。
今はまだ適当に愚かに暮らすこととする。
壁紙も次こそは美しく仕上げたい。