【DesignShip2023】マーティン・ブラウンさんの講演から「少し未来」のビジョンをデザインする事を考える。
どうも!
MoQupの原田です!
10月1日の今日も「DesignShip2023」を拝聴してきました。
今日はその中でも、オープニングスピーカーの「マーティン・ブラウン」さんのセッションをご紹介します。
このセッションを聞いたときに僕が思い浮かべたのは、、、
でした。
全てアニメのタイトルなんですが、これから15年以内くらいで実現できそうに感じてしまった作品です。(面白いと思った名作だけ記載させてもらってます)
左の数字は発行や公開された年数で、右の数字は作中で設定されている年数です。
AKIRAであれば、1988年にアニメ公開された作品で、2020年(32年後)の世界を描いています。(構想はもっと以前からあったと思いますので大体これぐらいに考えられたと思っていただければと)
どの作品も近い技術で実現できそうなんですよ。
これは作者の方が、未来を考えた当時に「どんな世界になっているか?」「どんな世界になっていて欲しいか?」を考えつづけた結果なんだと思います。
今回のお話しは、そんな未来の中でも、「少し先」の未来をデザインするために必要な事に近いお話になります。
今回のセッションの内容
今回のスピーカーはマーティン・ブラウンさんです。
IKEA、Westfield、Ray-Ban、The Times、ANZ Bank、Metaなどで15 年以上デザインを手がけ、現在は「Culture Amp」 のデザイン ディレクターを行っています。
プロダクトやサービス開発の第一線で未来のデザインについて、感じ、考えてきたことを話して頂きました。セッションの概要は下記です。
英語でのセッションだったので、若干内容やニュアンスは異なるかもしれません。その辺りはご了承ください。
まずは導入から
1990年から世界のクリエイティブなイノベーションは低下している。
こんな投げかけから始まったセッションでした。(実際はもう少し余談がありましたが。)
2000年代の大きなイノベーションと言えば「スマートフォンの登場」ですが、2007年にiphoneが発売されて以来、実はそれ以降に行動様式を変化させるまで社会に大きな変化をもたらしたものはそう多くありません。
マーティンさんの出してくれたスライドでは、圧倒的に2000年以降はイノベーションの数が激減していました。(どこからのデータか書かれていなかったので、どこかで見つけたら更新しますね!)
ではそんな中で、イノベーションを起こすデザインはどのように作ればいいのでしょうか?
答えはMAYA段階の中に
MAYA理論とは…
アメリカで活動し、1970~1980年代のインダストリアルデザインを支えたレイモンドローウィー氏(フランス、パリ出身のデザイナー)が提唱した理論です。
「口紅から機関車まで」さまざまなデザインを手がけたレイモンド・ローウィ氏の言葉で、IDEOのティム・ブラウン氏が引用したことで広く知られることになりました。
この辺りは「デザイン経営」の分野に入っていくので、「デザイン経営」の歴史に興味があれば、下のサイトもご覧いただけると良いかと思います。
未来を変えるイノベーションを起こすデザインに重要な事
マーティンさんは未来のイノベーションを起こしていくためのデザインには、先のMAYA理論で提唱されている、
最先端(Most Advanced)
かつ許容範囲(Yet Acceptable)
であることが重要だと話しています。
消費するモノ、売れるモノを求めてデザインするのではなく、今持てるギリギリの技術や制限の中で「最先端」のデザインを作っていかないと世の中のイノベーションは低下してしまい、「昔のほうが良かった」と考え始めてしまう。(今の日本はこういう状態なのかもしれません)
イノベーションが止まるとビジネスもデザインも停滞してしまう。それに対する警鐘の様にも感じられました。
マーティンさんが大事にしている価値観として、ハチのコミュニティの話がありました。
ミツバチには高度な知性があり感性があることが研究で明らかにされていて、その中でも「巣の中で10%のミツバチは蜜を集めない。ただ散歩している。」という、話が印象的でしたねw
散歩して蜜を集めない自由な存在こそがイノベーティブだと。
ミツバチは仲間の行動を観察して学習するのが得意で、巣の中の一匹が何か新しい技を考案すると、ほかの仲間にすぐに広まるという学習能力の高さを持っているようです。
ハチのコミュニティでただ散歩している奴は最先端を行っていて、新しい餌場、新しい巣の候補地、新しいノウハウ、などを探したり、自由に考えつづける存在が社会には必要だと。
現代では働かずに自由でいられる存在はそう多くありません。
これを現在のデザイナーに当てはめると、
散歩するのではなく、
「新しい行動を考える事」
とマーティンさんは言っています。(もちろん散歩しても、働かずにいても問題ないのですがw)
その「新しい行動」をどうインフラやプロダクトに落としこむか?
「新しい行動」の中から、【最先端かつ許容範囲(Most Advanced Yet Acceptable)】で選択を行い、企業や研究機関の持つ技術と行動を融合させていく事で新しい行動様式が生まれ、イノベーションが生まれる。
技術起点ではなく、新しい行動を起点にする事
安くて早くて強いモノが求められる世の中ですが、
・結果だけを求めてはいけない。
・技術だけを求めてはいけない。
・型にはめて考えすぎてはいけない。
全然散歩してもいい、ただ、
誰のためのデザインか忘れてはいけない。というのがとても印象的でした。
本当に幸せにしたい人のためにデザインすべきだと。UXデザインってそういう事ですよね。
「誰の行動を新しくすると、社会にどんな影響が出るんだろう?」を考えながらデザインすることが未来につながっていくことを信じてます。
まとめ
マーティンさんのセッション、僕はかなり好きでしたね。
特にご自身の子供の未来を想う姿勢やそれを元にしたプロダクトへの熱意が伝わってきて、良い刺激貰えました。
2050年に今より世界は良くなってるのでしょうか?? マーティンさんは良くなっていると思っているといっていましたが、現在の日本を見ていると、疑問に感じてしまう部分も多くあります。
それを打開するためには、僕たちが、
「未来の子供たち」のために「ワクワクする未来」を歩むための「新しい行動」をプレゼント
する必要がありそうです。
僕もこの考えをとり入れてデザインしていこうと思っています。
それではまた次の記事でお会いしましょう!!
皆様の良きデザインライフを!