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LeicaM9を手にするということ

こんにちは、村田です。
私のSNSやYoutubeを見ていただいている方はみなさんご存知でしょう。
何かと話題になり、虜になった人数知れず。そう、LeicaM9
そんなM9、ライカというカメラを改めて考えてみました。

ライカという存在

カメラという道具には、それぞれの哲学がある。スピーディーに、正確に、一瞬を捉えることを目指したカメラもあれば、あえて不便さを残し、撮る行為そのものに価値を見出すカメラもある。

ライカは間違いなく後者の代表格だ。

「ライカは写真を撮るためのカメラではなく、写真を“味わう”ためのカメラ」と表現する人もいる。オートフォーカスがない、撮影アシストもほぼない、それなのに、ライカを手にした人は例外なくその魅力に取り憑かれる。なぜか?

その答えは、「撮る」という行為が、単なる動作ではなく“体験”になるからだ。

そして、そのライカの中でも、M9は唯一無二の存在として、今なお根強い人気を誇る。

M9の特別さ

M9は、2009年に登場したライカ初のフルサイズデジタルM型カメラだ。しかし、単なる技術革新としての「最初のデジタルM型」ではなく、M9はその後のM型ライカとは一線を画す独自の魅力を持っている。

最大の特徴は、CCDセンサーを搭載していることだ。

現代のほとんどのカメラはCMOSセンサーを採用しており、CMOSのほうが高感度耐性やダイナミックレンジの面で優れている。しかし、CCDセンサーには独特の発色とトーンの美しさがある。


M9で撮影された写真は、まるでフィルムのような深みとコクがあり、シャドウの部分には豊かな階調が生まれる。光の当たり方によって色のニュアンスが変化し、自然な空気感が生まれる。モノクロの質感も非常に素晴らしい。私はモノクロの質感がM10モノクロームと比較しても迷うほど好きだ。


「M9の色はM9でしか出せない」

これは決して誇張ではなく、実際に使った人が口を揃えて言うことだ。ライカレンズとの組み合わせによって、その魅力はさらに増し、唯一無二の描写が得られる。


M9を使うということ

M9は、最新のデジタルカメラのような「便利さ」を求める人には向いていない。
・オートフォーカスなし → 自分でピントを合わせる必要がある
・高感度性能は控えめ → 暗所では手ブレやノイズを考慮する必要がある
・バッテリーの持ちが悪い → 予備バッテリーが必須
・液晶モニターの解像度が低い → 撮影後の確認には向かない

これだけを見ると、わざわざM9を選ぶ理由がないように思える。しかし、これらの「制約」があるからこそ、M9は特別なカメラになっている。

写真と向き合う時間が変わる

M9を使うと、写真を撮ることが「作業」ではなく「儀式」に変わる。

レンジファインダー越しに被写体を見つめ、ピントを合わせ、露出を決め、シャッターを切る。その一連の流れには、確かな手応えがある。

最近のカメラは、撮影のハードルを限りなく下げる方向に進んでいる。顔認識、瞳AF、高速連写……。これらは間違いなく便利だし、プロの現場でも重宝されている。しかし、それによって「写真を撮ることの本質」が薄れてしまうこともある。

M9は、撮影者に「考えること」を求めるカメラだ。

ピントをどこに置くか、光がどう当たっているか、どんな色になるか。シャッターを切る前に、被写体とじっくり向き合うことが求められる。このプロセスが、M9を使う最大の魅力であり、写真を撮る喜びそのものになる。


シャッターを切る感触と音

M9のシャッター音は、他のカメラにはない心地よさがある。

「カシャ」という乾いた音が響き、メカニカルな感触が指先に伝わる。その瞬間、ただのシャッター動作が、撮影者にとっての特別な体験になる。

この感触の良さは、M型ライカ全体に共通するものだが、M9のシャッター音は特に「味」があると言われる。M240以降のモデルと比べても、その感覚はより機械的で、よりライカらしい。M9のシャッター音というだけのリールがプチバズを起こしたくらいだ(笑)


M9が「ハマる」人とは?

M9は決して万人向けのカメラではない。

むしろ、現代の基準で考えれば「不便なカメラ」と言われてもおかしくない。しかし、そこにこそ魅力を感じる人がいる。
・機械的な操作感が好きな人
・フィルムライクな色を求める人
・写真を「撮る」こと自体を楽しみたい人
・最新技術よりも質感や描写にこだわる人

こうした価値観を持つ人にとって、M9は唯一無二の存在になる。

逆に、「とにかく失敗なく、きれいな写真を撮りたい」「機能が充実したカメラが欲しい」と考える人には、M9は向かないだろう。それならば、最新のデジタルライカや他社の高性能カメラのほうが満足できるはずだ。

しかし、「写真を撮る行為そのものを楽しみたい」「機械としてのカメラに愛着を持ちたい」と思う人にとって、M9は唯一無二の相棒になる。



M9を手にするということ

M9を手にすることは、単にカメラを買うことではない。

それは、写真と向き合う時間を変える選択でもあり、シャッターを切るたびに喜びを感じる生活を手に入れることでもある。

M9は、新品で手に入るカメラではない。センサーの腐食問題やメンテナンスのリスクもある。それでも、多くの人がM9を求め続けるのは、「このカメラでしか味わえないものがある」からだ。

もし、あなたがカメラに「機能」以上のものを求めるなら。
もし、「写真を撮ること」そのものを楽しみたいなら。

ライカM9は、その期待に応えてくれるはずだ。

この唯一無二のカメラを手にするかどうか——その決断を、ぜひ楽しんでほしい。


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