【TEPPEN】T3シリーズ優勝者ライア選手にインタビュー「一度もミスが許されない状況だと悟った瞬間、スイッチが入った」
ガンホーのスマホゲームアプリ『TEPPEN』のコミュニティ大会“TEPPEN TONAMEL TOURNAMENT SERIES”、通称“T3シリーズ”。今回は、2021年5月15日にオンラインで開催されたシーズン1の決勝大会において、見事優勝したライア選手のインタビューをお送りする。
ライア選手は、昨年の世界大会"WC2020"で3位という好成績を収めた有名プレイヤーだ。趣味の将棋で培ったという論理的なプレイングが印象的で、今回のT3シリーズでも圧倒的な実力を見せてくれた。特に決勝戦第3ラウンドでは序盤の手札事故に苦しみつつも、一切ミスをしない驚異的な思考力で観客を驚かせた。そんなライア選手と大会を振り返りつつ、デッキ構築のポイントについても詳しく聞いてみた。
――優勝おめでとうございます!まずは優勝したときの率直な気持ちを教えてください。
ライア 最近の大会では3位という結果が多く、1位になりたい気持ちが強かったので嬉しかったです!
――決勝トーナメントはアンリミテッドルール(すべてのカードが使用可能※1)でしたが、最初にそれを聞いたときはどう思いましたか?
※1『TEPPEN』ゲーム内のランクマッチでは、2021年6月のシーズンから一部のカードパックが使用不可となる"スタンダードルール"が適用されている。一方、今回のT3シリーズ決勝大会では『TEPPEN』史上初となる"アンリミテッドルール" が適用された。
ライア アンリミテッドルールとはいえ、カードパックが1つ追加されただけでカードプールは前環境と殆ど同じでした。そのため、前環境のデッキを軸にデッキを練ろうと思いました。
――決勝大会に向けての練習はどれぐらいされましたか?
ライア 前日に2時間練習をしました。
――意外と少ないですね(笑)
ライア そうですね。T3シリーズ以外でアンリミテッドルールで戦う場所がないので、練習相手を見つけるのが大変でした。
【伝説の逆転劇。決勝戦最終第3ラウンドで魅せた王者の思考力】
――決勝戦、互いに1ラウンドずつ取った最終第3ラウンドの立ち上がりが、アクションカードばかりの手札で万事休すかと思いました。マリガン(手札の入れ替え)をしてさらに状況が悪くなってしまったように見えましたが、マリガンをした経緯を教えてください。
※画像はマリガン前の手札
ライア ≪ジェイク・ミューラー≫を最初に引いたことで、早い段階でメモリーを4つ貯めなければいけないと思いました。しかし、試合の序盤に打ち難い≪武装解除≫が2枚手札にある為、仕方なくマリガンをすることになりました。
※画像はマリガン後の手札
――決勝の舞台だからこそ、妥協せずにマリガンを選択したということですね。結果的にアクションカードが5枚になり、一般プレイヤーであればこの時点で”負け”を覚悟するような手札となってしまいましたが、この時はどのような心境でしたか?
ライア 「あ、これやばいww」と思いました。ただ、一度もミスが許されないと悟った瞬間「よし、やるか!」と逆にスイッチが入ったのを覚えています。
――試合を通して一度もミスをしなかったことに加えて、印象的だったのはいわゆる"ずらし"※2 のテクニックでした。
※2 ヒーローアーツやアクションカードを絶妙なタイミングで繰り出すことによって相手の行動を制限する高度なテクニックのこと。この場面では、ライア選手がヒーローアーツで”ずらす”ことによって、くろ選手のヒーローアーツの発動を制限している。
ライア "ずらし"はかなり好きなテクニックですね。コツをつかめば難しくないですよ。ギリギリまで矢印を引き付けることがポイントです。もちろん、いつどのタイミングで"ずらす"のかを見抜くことが一番重要です。
――コツコツとアドバンテージを取り、徐々に優勢な状況を作っていたように見えましたが、流れが変わったと思うタイミングはありましたか?
ライア 対戦相手のくろ選手が≪反逆者の記憶≫をプレイしたタイミングです。それまで相手が持っていたMPのアドバンテージが無くなり、残ったデッキの状況を考慮すると、この時点で"勝ち"を確信することができました。
――この時点で勝利を確信したとは!相手ヒーローのライフはまだ20もありますが......。
ライア 自分が使ったカードはすべて覚えていて、ここで≪自己誇張≫を使うと≪殺人蜂の一撃 キャミィ≫がEXポケットに入ることは確定していました。≪殺人蜂の一撃 キャミィ≫を≪Aトランス≫でコピーするという王道の勝ち筋が見えていたので、勝ちを確信しました。
※このあたりは動画で詳しく解説していただきました
【王者のデッキ構築論~アンリミテッド編~】
――各ヒーローアーツ(あくび、瞬獄殺、嘆キ)の採用理由を教えてください。
ライア 初めてのアンリミテッドルールでの大会ということで、他の出場選手がどのようなデッキを持ち込むのか全く分かりませんでした。そのため、どんな相手でも幅広く対応できるデッキ、ヒーローアーツを選ぼうと思いました。
――確かに。一般的に、大会では”勝つ”ことを意識して相性差がはっきりしているデッキやヒーローアーツを持ち込む選手が多いイメージですが、今回のライア選手のヒーローアーツ選択では"負けない"ことを意識している印象を受けます。
ライア そうですね。強いて言えばテンプテーションが唯一の弱点だったのですが、それ以外には対等以上に戦えます。「幅広く戦えるヒーローアーツ=ランクマッチで活躍しているヒーローアーツ」だと考えて、この3つを選択しました。
――それぞれのデッキについて詳しく解説を伺いたいと思います。まずは”あくび”デッキからお願いします。
ライア このデッキはアグロデッキに対する耐性が高く、紫ヒーロー以外に安定して勝てるデッキです。新カードの≪綾里千尋≫のおかげで、あくびの回転率が上がり、≪頭目の招集≫のバリューも上げることができました。
また、緑デッキの強みはやはり”封印”ができることだと思います。スタンダードルールではアクション以外の封印手段が≪ツィツィヤック≫しか無いものの、アンリミテッドルールでは≪ウルトラお嬢様 神月かりん≫を入れることができます。その≪ウルトラお嬢様 神月かりん≫を≪復興の夢≫で回収して封印の回数を増やす等、アンリミテッドルールならではの強さも演出することができました。
――”瞬獄殺”デッキはいかがでしょう。
ライア このデッキは大型ユニットの処理を得意とするデッキです。
アンリミテッド環境では大型ユニットが強そうな印象があったので瞬獄殺を持ち込みました。特に、テンプテーション、ウロボロス、阿修羅閃空、抗体の活性化の4つと張り合える点に強みを感じています。さらに、スタンダード環境では使えない≪波動の完成≫を入れることができたおかげで、安定感とパワーを両立させることができました。
――”嘆キ”デッキはいかがでしょう。
ライア 前環境の覇権デッキということで、アンリミテッド環境でもやはり存在感がありましたね。
特に、≪ユーニ≫、≪VAVA MK-Ⅱ≫、≪アルフレッド・アシュフォード≫、≪拳を極めし者 豪鬼≫がとにかく強いです。
――その4つのカードの強さを具体的に教えてください。
≪ユーニ≫は実質2コストで味方ヒーローのライフを守ることができます。このデッキはロングゲームを得意とするので、≪ユーニ≫の強さを最大限に活かすことができます。
≪アルフレッド・アシュフォード≫は相手3コストユニットの存在を許さない!というようなカードです(笑)。このカードは3コストですが、実質4~5コスト分の働きをしているのではないでしょうか。
ミラーマッチに強い点も高評価です。
≪VAVA MK-Ⅱ≫はデッキの弱点を補強してくれるカードです。探索で手札に入る≪侵蝕≫というカードは、3コストで5コスト以下の敵ユニットを破壊することができます。相手としては≪資格無き者の末路≫の範囲外である5コストユニット(緑であれば春麗、かりん、家康、キャミィ等)で攻めたいと思うはずなので、その対策としてこのカードを入れました。ヒーローアーツで回収できるということもあり、安定感を高めるため2枚採用しました。
≪拳を極めし者 豪鬼≫は、どんなユニットも倒せてしまうところが文句なしに強いです!
――新カードパック(ATP)のカードはどうでしたか?
ライア 新カード枠としては≪ロキシー≫と≪違反は違反≫が良い動きをしました。赤対面での負け筋となるレジェンダリーの≪宿命に抗う者 リュウ≫や、ウロボロスで出てくる高コストユニットを3コストで処理できるので、このデッキの懐の深さが増しました。今回の大会でもよい動きをする場面が多く、採用してよかったと思えるカードでした。
――詳しい説明をありがとうございます!逆に、採用しなくてもよかったと思うカードはありましたか?
ライア アグロデッキが多いという予想で瞬獄殺に≪資格無き者の末路≫を2枚入れたのですが、そもそもアグロデッキの相手とは当たらなかったので、抜いて良かったのかもしれません。
――今後もT3シリーズ決勝大会はアンリミテッドルールで開催されるそうです。アンリミテッドならではのデッキ作りのポイントがあれば教えて下さい。
ライア それまでの環境で強かったデッキを軸にして、それに対して新カードを追加するという方法がおすすめです。
【T3シリーズ全体の感想と、来シーズンへ向けてのコメント。ライア選手「毎週優勝を目指します」】
――T3シリーズ全体を振り返って、感想をお願いします。
ライア 『TEPPEN』史上、初めてのアンリミテッドルールの大会で優勝できてうれしかったです!今シーズンは予選大会での優勝回数が少なかったので、来シーズンは毎週優勝を目指して頑張りたいです。
――改めて、優勝おめでとうございます!最後にひとことお願いします!
ライア 大会はモチベーションに繋がるので感謝しています。あと、T3シリーズでもチーム戦の大会を開催してほしいです!
――チーム戦いいですね!本日はありがとうございました!
ライア ありがとうございました!
リアルタイム制を追及した『TEPPEN』ならではのテクニックやデッキ構築は、他のカードゲームと一線を画すものがある。ライア選手の決勝戦のプレイングは『TEPPEN』プレイヤーであれば誰もが驚くような内容であった。しかし、ライア選手のインタビューを終え、その驚きは何倍にも増すこととなった。T3シリーズはもちろん、公式の世界大会である”WCS 2021”での活躍にも注目が高まる。
なお、T3シリーズは5/21からシーズン2が始動した。約3ヵ月間、毎週1~2回の各大会を通してポイントが割り振られる。それぞれの大会は、様々なルールで開催され、初心者でも楽しめる内容となっているので是非参加していただきたい。