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SS魔術師

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頭のいい魔術師猫の話。

その猫は闇のように黒く、緑色の透明な目をしていた。

その猫は自由自在に魔術を使える猫であった。

人間の欲望や欲求を知り尽くし、それらを満たしてあげることで大金を得ていた。

出世を叶える、勝負事で勝たせる、意中の人の心を射止めるなどは容易い事。

大金がかかれば、密かに殺しにも関わった。

人々は見破ることができなかった。人々は猫を崇めた。

猫のための会社をたて、社員を従え、支店を構え、ビジネスとして成功し、猫の存在は国中に知れ渡ることとなった。

国中の誰もがこの魔術の秘密を知りたがった。
猫は言った。

「南の国の森の奥深く、黄色くてトゲトゲした実の種を食べれば分かる」と。

国中の誰もが、その実を欲しがった。

人々は南の国へ向かった。木々を薙ぎ倒し、実を探し回った。

選ばれた1人の若い男がその実を見つけ、種を頬張った。

「俺も億万長者になれる。嫁や子供もこれで苦労しない。」

男が種を飲み込んだ瞬間。みるみるうちに、ふさふさの黒い毛が身体中から生えてきて、みるみるうちに小さくて無力な黒猫になった。

「にゃーん」

一方の魔術師猫はみるみるうちに身長が伸び、若い男の姿となった。

猫は言った。

「これが魔術の秘密だ。気の毒だが、生きていてもあと1年ほどだろう。猫の寿命は平均15年だからな。」

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