
組織の統率は大学生が一番難しいと思うはなし
組織のカタチにはいろいろある。
高校の委員会、部活、大学のサークル、学生団体、ゼミ、バイト先、会社等々...
それらの組織ごとに統率の仕方とかって全然違うと思うんだけど、
個人的には確実に大学生の任意団体の統率が難しいと思っている。
なぜかというと、メンバーを繋げるものが感情以外にほとんどないからである。
例えば高校生は、自分の世界が基本的に「高校」という枠の中にしかないため、
その面で「同じ高校の仲間」であることが強力な拘束力になり得る。
もちろん行事の練習をさぼる人、幽霊部員などはいるが、
それらの人がマイノリティになるくらい、活動に真摯に参加する人が多くいるため、
統率する苦労はそこまで大きくない。
せいぜい個々の向いている方向が「部活」か「勉強」か「行事」か、という程度の違いであり、
もちろん高校生からすればそれは一大事であろうが、今考えればそのベクトルの違いは微々たるものである。
なにより、高校という組織は、
校風や学力からしてに多様な気質の生徒が集まることが多いため、
やはり大学以降の玉石混交の組織と比べれば統率しやすいだろうと考えられる。
また、会社について考えると、
もちろん個々人の性格や価値観は全く異なるだろうが、
「お金」という最強の共通目的があるため、統率は容易である。
その会社に入っている目的はそれぞれ色々あるかもしれないが、最終的にはみんなお金を稼ぐことにあるのは確実だ。
だから、よほどのことがない限りちゃんと統制に従うし、うざいなーと思いながらも上司の指示には従う。
じゃあいよいよ本題。
大学生はどうだろう?
私は、学生だけ統率のハードルが驚異的に跳ね上がると思っている。
そう思う理由としては、
①参加に強制力を持たない
②個々人の目的が異なる
③学生時代は価値観の変革期である
という3つがある。
①参加に強制力を持たない
これは高校や会社と比べればわかる通り、サークルも学生団体も、
「別に参加しなくてもいいもの」である。
それはつまり、「別に頑張らなくてもいいもの」でもあるということだ。
そのため、必然的にメンバー間に熱量の差が出てくる。
それも、かなりばらつきのある熱量の差である。
自分の生活の中に学校、バイト、サークル、などといくつもの世界を持つ大学生にとっては、
すべてに同じだけの熱量をかけるわけにはいかない。
そのため、どれかの活動を自分のメインとして選ぶことになる。
そこで、その団体を自分の生活のメインに置き、中心となって活動している人からすれば、熱量はかなり高くなるし、
一方で何となく加入し、何かのついでで活動している人からすれば熱量は下がるというわけだ。
そもそも、やらなくてもいいものに対しては、その団体の活動によほど強い想いがあったり、何かしらの利害関係があったりといったことがない限り、人間頑張れないのが常である。
そのため、熱量の差が統率の邪魔をするのだ。
②個々人の目的が異なる
高校生は、同じ高校に通っている限り大体みんな似たような環境に置かれるし、会社も同じくであろう。
しかし、大学は自由でいろんな生き方を個人が選択できるがゆえに、個々人の多様性がありすぎる。
そして、それぞれの価値観や利害関係が大きく異なるがゆえ、団体に入る時の参加目的も一人一人全く異なるのだ。
就活のためにサークルに入る人もいるし、出会いを求めて参加する人もいるし、
友達欲しさに参加する人もいれば、友達に誘われてなんとなく入っちゃった人もいる。
これらの多様すぎる目的・利害関係のなかで、
メンバーを繋ぐものは「エモーション」以外の何物でもない。
この団体で仲間と頑張りたい!
みたいな感情しか構成員を繋ぐ要素がないのである。
なんという脆さだろう。
そんな細い一本の糸でしか結ばれていないメンバーで、前述のように「やらなくても別にいいこと」をしようとするのはかなり難儀である。
こうしたベクトルの向きの違いも統率のハードルをぐんと上げるといえるだろう。
③学生時代は価値観の変革期である
学生時代の4年間は、それぞれの学生が様々な世界に触れ、他人とは違ういろいろな経験をして、自分なりの価値観を醸成していく時期である。
そのため、最初は同じような思いで集まったとしても、
その思いが徐々にずれていくことは往々にしてある。
人間自分のいる環境によって考え方は大きく変わるし、
触れるものによってぐるりと変わったりする。
しかしそれは目に見えないものだから、他人はもちろん自分にもその変化は読み取れず、
気づかない間に同じ思いだったはずの人たちの間に思いのズレが発生しはじめるのだ。
学生時代は他のどの時期よりも、それぞれ違う経験をしてそれぞれ違う価値観を見出していく時期であるため、
これが組織の継続に大きな障害となることがある。
___
以上の3つの理由から、私は大学生の組織ほど統率することが難しい組織はないと考える。
だから大体学生の団体を取りまとめるリーダーは、
その団体の本来の目的である活動よりも、
「その団体を維持するためにはどうチームビルディングをしていけばいいのか」
を考えることに時間と労力を割くことになり、結局やりたいことができなくなってしまったりする。
そんな大学生の団体の特殊性ってあんまり考えられてないよな、と思ったので、
これを機に学生の組織を統率しようと頑張っている全国の学生を褒めまくりたい。えらい!