【第1話】未経験エンジニア2年目の私が見た、技術力の壁と現実
「あぁ、やっぱり分からない...」
午前2時を回ったオフィスで、私は画面に映るエラーメッセージを睨みつけていました。
「Cannot read properties of undefined...」
今日も、新卒エンジニアが書いたコードの方が洗練されていて綺麗だった。彼らの書くコードを見ると、データ構造やアルゴリズムの知識が自然に活きている。それに比べて私のコードは...
未経験からエンジニアになって2年。
毎日必死でコードを書いて、夜は技術書を読んで、休日は勉強会に参加して。
それなのに、まだ、圧倒的な差を感じる。
「経験」という名のコンプレックス
「佐藤さん、このコード、もう少しリファクタリングした方がいいかも」
今日も朝一でGitHubに上がった私のプルリクエストには、たくさんのコメントが付いていました。新卒入社の山田くんが指摘してくれた内容は、確かにその通り。
なんで気づけなかったんだろう。
そもそも、こんな基本的なことを指摘される私って...
「React Hooksのライフサイクルについて、もう一度整理した方が良さそうですね」
そう、私の書いたコードには無駄な再レンダリングが発生していました。useEffectの依存配列の理解が浅かった。
山田くんは理論的な説明を続けます。コンピューターサイエンスをしっかり学んできた彼の説明は完璧だった。
一方の私は、文系出身。
プログラミングスクールで3ヶ月学んで、なんとか入社試験に受かって...
そんな私が、本当にエンジニアとしてやっていけるのか?
深夜のオフィスにて
「まだ帰らないの?」
ふと声をかけられて振り返ると、テックリードの野村さんが立っていました。
「あ、はい...ちょっとバグの原因が分からなくて...」
「君、毎日遅くまで残ってるよね」
野村さんは静かに隣の席に座り、私の画面を覗き込みました。
「未経験から頑張ってきたの、知ってるよ。でもさ...」
その時、Slackの通知音が鳴る。
「佐藤さん、ちょっといいかな」
黒田部長からのダイレクトメッセージ。しかも、こんな時間に。
「明日の朝一で、話がある。重要な案件だ」
私の心臓が、大きく跳ねる。
なんだか、嫌な予感がする...
次回「未経験者が任された、まさかのプロジェクト」