遺書
始めに断っておくが私が自殺する事はない。
本当に死にたいのならこのような文章を書く前に死んでいるだろう。
何故このようなタイトルを付けたのか、それは「今までの自分との決別」のためだ。
私は現在31歳なのだが、昔から自分に自信が無く、人と接するのが苦手だった。
人前に立つと緊張して汗が止まらず、思ったような言動が出来なかった。
そのせいで学生時代には馬鹿にされたり虐めにあったりしていた。
義務教育を終え、高校に進学したがクラスに馴染めず退学した。
しかし、そんな私にも唯一の趣味があった。
DJだ。
海外のHIPHOPやR&Bが好きで、初めてCLUBイベントに遊びに行き、DJに魅了された。
アルバイトをして機材を買い、寝ても覚めてもDJの練習をしていた。
それと同時に大学に進学したいと言う気持ちも芽生え、高校卒業程度認定試験を受けるために勉強を再開した。
認定試験に合格し、苦労しながらどうにか志望大学にも受かった。
複数の大学による合同のイベントサークルに入り、CLUBでDJする機会も増え、人生で1番充実した4年間を過ごした。
しかし右肩上がりの人生なんてそう続かない。
大学4年になり周りが就活にあけくれるようになった頃、僕は未練がましくDJに明け暮れていた。
そして就職に失敗した。
そこからは臨時雇用の仕事や短期の仕事を転々としていた。
大学生の時は影を潜めていた人見知りや自信のなさがまた現れ、職場で浮いて陰口を言われた。
職場に着くと緊張で冷や汗が止まらず、人と話す時もなかなか声が出なかった。
どの職場でも変わらず、次第に人間が怖くなっていった。
そんな中偶然採用された職場は居心地が良く、僕にしては珍しく5年勤めることが出来た。
しかし6年目を迎えたある日、職場が潰れた。
そしてまた振り出しに戻り、いくつか仕事をしてみたがやはり人間不信が拭えず悲しい思いをした。
出社拒否をしてクビになった事もあった。
現在は短い時間だけ働ける仕事についているが、それにも関わらず出社出来ない時もある。
両親に相談をし、「精神科を受診したい」と告げるが「お前のはタダの甘えだ。精神科にかからなくても良い。甘えてないで働け」と聞く耳を持ってもらえない状況なのである。
気が弱い僕は親に言い返せず、「やっぱり自分がダメなんだ」と弱気になってしまい悲しくなる。
仲の良い友達は、大学卒業後に就いた仕事を立派に続けており、結婚して家を建てて幸せな家庭を築いている。
その姿を見て、嬉しい気持ちの反面自分の状況と比べて悲しくなる事もある。
「いっその事死んで全部終わらせてやろうか」と思った事もある。
しかし、僕はまだ生きていたい。
今まで僕の事を虐めてきたヤツ、バカにしてきた奴、蔑んできた奴に復讐したいのだ。
もちろん復讐と言っても武力的な事ではなく、自分が自分で決めた生き方で誰よりも幸せになる事だ。
そのためには今の自分を縛り付けているシガラミや親の呪縛から逃れ、自分の足で自分の道を歩き始めなければならない。
その決意を込めて、今までの気弱でクズな自分を殺す意味で……
ここに遺書を記す。
2020年1月13日