海外美大時代のモーショングラフィックス勉強法
こんにちは、mooographです。
フリーランスで映像制作をしている、女子映像クリエイターです。
現在YouTubeで、アニメーションやモーショングラフィックスのチュートリアルを配信しています。
私は学生の頃、海外美大に留学していた経験があります。
以前Twitterで、海外美大ではどのようなカリキュラムだったのか気になる!というコメントをいただきましたので
私が学生時代、どのようにアニメーションやモーショングラフィックスを勉強したかお話しようと思います。
もともとはピクサーに憧れて、アニメーションフィルムの勉強をしようと海外に行ったわけですが、
紆余曲折あってモーショングラフィックスカッコいい!!となり、その勉強をすることにしました。
モーショングラフィックスはデザイン科
どのような勉強をしたかお話する前に、そもそもモーショングラフィックスの授業があるのは、アニメーション科ではなくNew Mediaというデザインのメジャー(専攻)でした。
New Mediaメジャーではウェブ・UI&UXがメインで、グラフィックデザインや写真、AR・VRの授業もあり、ざっくばらんに色々勉強できる環境でした。
今ならよくわかりますが、当時はなぜアニメーション科ではなくデザイン科なの?と思っていました。(モーショングラフィックスの基本はデザインである、ということはよくわかっていなかった)
当時企業のインハウス映像職が増えており、グラフィックデザインの生徒もモーショングラフィックスの基礎クラスは必修でした。学校としても動かせるスキルがあったほうが就職に有利、ということだったのでしょう。
周りのグラフィックの子たちはかなり嫌がっていましたが、動いた方が面白いじゃん!というのは映像クリエイターのエゴでしょうか。
私が実際に授業でとったクラスはたった2つだけなのですが、その短い期間でどのように映像と仲良くなれたかお話しします。
モーショングラフィックスクラスのカリキュラム
私の学校では、1週間に1回の授業が全15回、というのが1学期の流れでした。2週間ごとに課題が与えられて、次の授業の冒頭で発表→みんなでクリティーク(批評)が基本的な流れです。
モーショングラフィックス基礎(After Effects)は例えばこんな感じです。
1~2週目:授業でAEの操作法を学ぶ
3~4週目:【課題1】Shapes to Music
音に合わせてシェイプを使った20s程度の作品をつくる
5~6週目:【課題2】Title Sequence
好きな映画のオープニングタイトルをつくる
7~8週目:【課題3】I love OO App
仮想アプリのプロモーション映像をつくる
9週目:【課題4】Animating Type
決められたwordを使ってそれを表現するアニメーションを2つつくる
(例えば、dirtyだったら汚いを表現するアニメーションみたいな)
10週目:【課題5】Effects-O-Rama
標準エフェクトを3つくらい使って課題1のアニメーションに味付けする
11週目:【課題6】ABC / 123
AならAに関連する言葉でキャラクターアニメーションをつくる
(例えばA→appleでリンゴのキャラクターを作って動かす)
12週~14週目:【最終課題】Book Trailer
自分に関連する本を選んで、30s以上のプロモーション映像をつくる
15週目:最終課題発表、ふりかえり
授業以外でもかなり勉強した
2時間弱ある1回授業のなかで、先生にAEの技術的なところは教えてもらえるのですが、もちろんそれだけでは足りず、チュートリアル動画を見漁って勉強しました。
課題に対してこういう表現がしたいから、このチュートリアルのこういうところは使えるなとか、部分的に抽出して活用していました。
私のチュートリアルは、一つの作品として完結するような動画が多いですが、なるべく技術的なところとか、必要なところだけを盗んで活用してもらえるといいんじゃないかと思っています。
週の課題で最低限の条件以外に、今回は手書き風、次はロトスコープ、次はキャラクタリスティックにユーモアのあるもの、とか自分なりにやりたいこと・テーマを決めて取り組んでいたので、そのためにはこれを勉強しなきゃ!と毎週必死で、土日も返上してずっと作業していました。もちろん他のクラスも並行してとっているので、プロジェクトを3つ4つ抱えている、みたいな状態が4ヶ月くらい続きます。
(アドレナリンがでているので全く苦でなく、楽しかった。せっかくの留学生活ぜんぜん遊ばず何してたんだ、という感じですが)
実際の仕事のスピード感や流れに即していた
このカリキュラムが日本の専門学校や美大に比べて多いのか少ないのかはわからないんですが、今思えば1~2週間で制作して発表してフィードバックもらって、という一連の流れは、社会にでてからの仕事のスピード感と似ているんじゃないかなと思います。
おかげで早く制作する癖が身についたし、実際社会に出てから、学生時代のゆっくりした時間の流れとのギャップで困ることは少なかったように思います。
最終課題は4週間がっつり時間をかけて、ひとつの作品を本場の流れで制作するという経験ができました。これも現場では当たり前のことですが、授業でしっかり体験したことで会社での仕事の流れもつかみやすかったです。
(アニメーション制作プロセスはこちらで解説しています↓)
独学でもできる上達法
私は元来ナマケモノなので、学校の課題という強制力がなければここまでストイックに勉強できなかったと思います。
独学でもモチベーションが保てるよーという強者は、、基本的には同じやり方で上達できるんじゃないかと思っています。
空想のサービスを考えて、デザインして、そのプロモーション映像を作ってみる。
好きな映画のエンドロールをつくってみる。
友人で商売をやっている人がいたら、無償でもいいからサービス紹介映像をつくってみる。(友人という強制力が働くのでオススメ)
もちろん上で紹介した課題を実際やってみてもいいと思います。
制作したものを少し時間をおいて見返して、どこが良くてどこがよくなかったか振り返る。
映像のコンセプトを考えて、デザインして、動かして、振り返る。という一連の流れで1から作品を作ることで、仕事にいきる制作術が身につくのではないかなと思っています。
作ったあと、制作物にフィードバックをくれる人がいるとなお良いです。ここが独学で1番難しいところではないかと思いますが。。
映像って作ってすぐ満足しがちなんですが、数ヶ月後に見返すとびっくりするくらい違うものに見えたりします。
そういう意味で、自分以外の視点で映像をみてもらうのは非常に重要です。
将来的に作品クリティークできるコミュニティを作れればいいなと思っているんですが、
オンラインスクールでそういうのあったりするのでしょうか?もしあればそこで学ぶのもすごくいいと思います。
まとめ
映像初心者の人はチュートリアルをそのままやるのは導入としていいと思うし、基礎的な操作法も覚えられると思います。
ただチュートリアルは断片的な知識しか学べません。技術や手法のヒントを得られるものであり、映像の本質を勉強できるものではないので、手っ取り早く知らないことを吸収できるツールとして活用してください。
チュートリアル配信者としては、長く視聴してもらうのが一番いいんですけどね・・・笑
サポート本当に嬉しいです!Youtube活動費として活用させていただきます!次のチュートリアル・記事更新に期待してください♡