アートユニット「野営」による現代のアジールで会社を辞めようと決心した。
2019年1月18日~2月3日まで、八王子市内で、「カフス」の企画による「露骨で格好いい八王子」というイベントが開催された。
その中心となったのは、企画した「カフス」の活動拠点である「蔵」を取り囲み、天高く聳えるように組まれた竹の櫓。
その竹の櫓こそ、海野貴彦さんとイワモトジロウさんのアートユニット「野営」による、現代のアジールである!!
前回、岸野雄一さんについて書かせていただいたのだが、なんと、ちょうどこの「野営」による現代のアジール「東京大屋台」が、東京都墨田区にて、「すみだ向島EXPO連携プロジェクト」として、現在開催されているのだ!!
そして、その「東京大屋台」にて、9月5日(日)、岸野雄一さん主催のDJイベント「House of Bamboo」が開催される!!
行きたい!!しかし、ボクのスケジュール帳を見ると、ボクは某大運動会のために、仕事なのだ!!!くぅぅぅぅっっっ!!悔しい!!
感染症対策も万全で、絶対楽しいこと間違いないから、お近くの方、ご都合つくみなさん、是非参加してみてください!!
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2019年、八王子にアートユニット「野営」によるアジールが爆誕したとき、ちょうどボクは、八王子の会社で働いていた。
縁あって、そのイベント「露骨で恰好いい八王子」を主催した「株式会社カフス」のみなさまと繋がることができて、自分が担当していた番組にも出演いただくことになった。
このnoteでは、ボクが過去働いていた職場について、散々ボロクソに書いているが、もちろん、得たものもたくさんある。
その地域で、地元を愛しながら、生き生きと楽しんでいる人々とたくさん出会えた。そして、じっくりお話を伺うことができた。
株式会社カフスのみなさまは、「楽しいこと」へのアンテナがバリバリに立っていて、全力で地元を盛り上げようというエネルギーに満ち溢れた、生き生きしたみなさんだった。
もちろん株式会社カフスさんは、そのイベントの一つ一つを、ボランティアではなく「仕事」として請け負っているのだが、「自分たちも楽しみながら、たくさんの人に楽しんでもらいたい!」というエンターテイメントの追求が、「仕事」を感じさせないくらいに爆発していた。
カフスさんに何かを感じ取ったボクは、「露骨で格好いい八王子」イベントが始まると、仕事の途中にもかかわらず、迷うことなくその竹の櫓でできたアジールを訪ねて行った。
ボクは、その竹の櫓をスーツ姿のまま登った。
そこには、一台の電子ピアノが置いてあって、人々が行き交う八王子西放射線ユーロード(歩行者専用商店街)に向けて、大きなスピーカーが据え付けてあった。
「ムーニーさん、ピアノ、弾ける?」
突然、カフスのみなさんから振られた!
ボクは、この時ほど、自分がピアノを小学校で辞めてしまったことを後悔したことは無い!!
しかし、「弾けません!」とは、ボクは言いたくなかった。いや、「恥ずかしい」とか、「格好つけたい」という思いでは無い。何でもいい。気の利いた曲じゃなくても、下手くそでもいい。
何しろ「露骨で格好いい」イベントなのだ!
ボクは、今、ここで、ピアノを弾きたい!
ボクは片手ずつ、間違えながらだったが、何とかThe Beatlesの「Let it be」を弾いた。
他の曲も弾いたかもしれないが、しばらくボクがピアノを繰り返し弾いていると、八王子ユーロードに小さな人だかりができていた。
隣の喫茶店のマスターのおじさんが「レリビー!レリビー!OH!!YEAH!!」なんて叫んで踊り出してくれていた。
その光景を見ながら、Excelの表計算よりも、営業トークの作り笑いよりも、ボクは、ここで、もっと上手くピアノを弾けるような人生を生きたいな、と、大げさではなく、思った。
とりあえず、今の会社を辞めよう、と決心した。
2019年2月3日日曜日、「露骨で格好いい八王子」イベント最終日、ボクはちょうど出社日だったのだが、早々に会社を引き上げて、現代のアジールに向かう。
ベーシスト今沢カゲロウさんの演奏や、心中椿さんによる芝居を楽しんだりしながら、ボクの心は晴れやかだった。
その後、会社を辞め、The Beatlesの「Let it be」は、何とか両手で弾けるように練習して今に至る。