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八幡様の棚田
NHKの超短編ドキュメンタリーのお話。
NHK松山放送局制作の、「日本カメラアイ」という5分の超短編ドキュメンタリーなのだが、高知県大豊町八畝(ようね)の棚田に生きる、おばあちゃんのドキュメンタリー。
いやぁ、素晴らしかった。
秋、稲の収穫。
息子家族も手伝いに来て、たわわに実った稲を前に、おばあちゃんの顔もほころぶ。
しかし、作業は、棚田で機械化できないためか、黄金色に実った稲を、一束一束、手で刈り取っていく地道な作業。
稲刈りが終わると稲を「いなき干し」して、その前にある小さな祠の「八幡様」に、地域の神主様を呼んで、収穫の感謝をする。
時は過ぎ、冬になり、餅つき機で正月用の餅をつく。
もう、おばあちゃんだけになって、杵と臼での餅つきもできないのかなぁ、と思わせる。しかし、家庭用餅つき機さえも、懐かしい機械。
「八幡様のはちょっと太うしょうか」
おばあちゃんが、お茶目につぶやきながら、餅をちぎる。
雪の棚田。
高知県といっても山間の冬は厳しい。
棚田の斜面沿いの畦道を、よちよち下っていく、おばあちゃん。
八幡様の祠の扉を開け、餅を供えて手を叩く。
ごにょごにょ何かをつぶやきながら。
最後は、雪が降りしきる棚田の畦道を、よちよち遠ざかっていくおばあちゃんの背中で、終わる。
日本人の心の中にある、田舎の原風景と、素朴な田舎のおばあちゃんの姿。
おばあちゃんには、末永く元気に棚田を守ってほしいものであるが、永遠ではない。
超高齢化社会と人口減少社会を迎える日本、地方の限界集落の風景は、今後変わってしまうことだろう。
振り返るばかりではダメなのはわかっているが、これから日本の社会が、本当に限界を迎えたとき、心のよりどころとなる、何気ない風景の記録を蘇らせることを必要とする時代が来るのではないだろうか?
こういう風景こそ、動画で記録して残していかなきゃなぁ。。。と思った次第である。