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ヤナミュー歴代メンバーへのメッセージ-というよりラブレターのようなもの-

 ヤなことそっとミュート。あれだけ暑苦しく楽曲について語っていながら、結局、それを歌って踊っているメンバーへの思い入れがとても大きい(そんなの当たり前、と思われるかもしれませんが、ぶっちゃけ、曲は好きだけどメンバーの名前すら覚えていないグループはいくらでもあります)。
 ヤなことそっとミュートに加入していなければ、友達も少なく家に引きこもっていそうな子ばかり。それが、なにかのまちがいでステージに上がり、熱狂を生み出すパフォーマンスを見せる。そのギャップは、ヤなことそっとミュートの大きな魅力の一つでした。
 根が陰性であるだけに、アイドルとしての活動は難しいところもあったでしょう。ビラ配りに苦戦したり、トークイベントで事故を連発したり(個人的には、事故連発ながら大いに爆笑をさらった火曜the nightは神回だと思っています)。今だから笑い話ですが、トークイベントの質問コーナーで、全員「パス」連発なんて、ありえませんって(笑)あと、どれだけ仲が深まっても、お互いを「さん付け」で呼ぶのも、とてもヤナミューらしい。
 また、数多のロック系アイドルの中でも、トップクラスにパフォーマンスレベルが高い点も、ヤナミューの素晴らしいところです。具体名は挙げませんが、音がよければそれでよし、メンバーの歌唱力が低くてもそれもまたギャップ、と開き直っているようなグループとは雲泥の差です。
 実際、初期から見ていますが、彼女らのパフォーマンスはどんどん向上していきました。それだけ彼女らが「ちゃんとやっている」ことの証左でしょう。
 そう、僕は彼女らの「ちゃんとやっている」ところに深い思い入れを感じるのかもしれません。歌もダンスもちゃんとやる、苦手なトークも頑張る、ファンとの特典会でもテンションを上げて接する。得意か不得意か、できるかできないかではなく、たとえ苦手なことでもちゃんと頑張る。そういう子たちって、やっぱり「応援しよう!」という気持ちになりますよね。
 前置きはこのあたりにして、以下、個別のメンバーごとに語っていきます。というよりこれは――こう書くと少々気恥ずかしいですが――各メンバーへのラブレター、のようなものでしょうか。

なでしこさんへ

 僕の推しは間宮まにさんですが、こと歌唱面においては、なでしこさん。個人的に、アイドル界で高く評価するボーカリストトップ3の一角に彼女は入ります(ちなみに残り二人は、フィロソフィーのダンス・奥津マリリとMELLOW MELLOW・SENA)。
 単純に、音程があっているとかピッチが正確とかといった点では、他にも上手いボーカリストはいるでしょう。しかし彼女ほど「観客と戦っているかのような迫力」を持ったボーカリストは他にいません。それは、先の二人にも勝っています。いえ、ロック系アイドルでロックバンドさながらの攻撃性を持ったボーカルはいなくはない。しかし、そういうタイプは、えてして基礎的な歌唱力がありません。
 ロックらしい迫力と、ハイクオリティーな歌唱力。その両方を併せ持つボーカリストは、アイドル界広しといえど、ヤなことそっとミュート、なでしこしかいない。それが、僕がボーカリストとして彼女のことが大好きな理由です。
 個人的に思い出に残っているエピソードを。自分はその場にはいなかったんですが、ステージ上でまにさんがぶっ倒れて急遽三人でそのままパフォーマンスを行ったとき「まるで鬼神のようだった」というTwitterの呟きを見て「さすが、そういうところだよなでしこさん」と思いました。責任感の強さと、ピンチのときにより発揮される迫力。やっぱ、すげえよ。
 コロナ禍で活動がままならない中、配信では、小学生向けの漢字ドリルが全然できなかったり、家具の組み立てに四苦八苦していたり、というのもいい思い出です。ステージでの迫力と、特典会やトーク時などのオフのギャップも、彼女の魅力の一つですよね。
 彼女の歌声なしには、ヤなことそっとミュートは成立しなかった。そういい切ってもいいとさえ思います。歌唱のエースとして、ヤナミューの激しいダンスを踊りながら歌うのは、その小さな体には大きな負担だったことでしょう。どれだけきつくても、彼女が手を抜いているように感じるライブはひとつもなかった。なでしこさんの六年間に「お疲れ様」「よく頑張った」そう声を掛けたいと思います。

南一花さんへ

 間宮まに、なでしこという両エースが前に立つ中、彼女は決して目立つ存在ではありません。しかし、一花さんなしではヤナミューはここまで長く活動を続けることはできなかった。そう僕は確信しています。
 縁の下の力持ち、というありふれた言葉では表しきれませんが、やはりその言葉がぴったり来るのだと思います。性格的に繊細なメンバーが多い中で、彼女のブレないタフさは、グループを支える柱になっていました。
 それは別に、彼女は繊細ではなかったという意味ではありません。人見知りだったり、特典会列の短さに悩んだりと、彼女も繊細な人だった。ただ、繊細である以上に、責任感が強く仲間思いだった、ということではないでしょうか。
 パフォーマンス面でも、彼女の歌はグループを支えました。低音の太い声は、はじめ不安定でしたが、経験を積んでどんどん上手くなりました。メンバーの中で、もっともパフォーマンスが伸びたのは彼女ではないでしょうか。楽曲のところでも語りましたが「No Regret」のサビで迫力ある低音をぶっ放す姿はとてもカッコよく「一花さん、いいところ任されてるなあ、すごいなあ」と思ったものです。それが後に、メジャーでのシングルである「フィラメント」でもサビを担当するのですから「南一花の成長物語」を共に歩んだ人にとっては、感涙のシーンだったでしょう。
 初めて特典会に行ったのは、たしか結成一周年での十三GUB。その直前にあった「矢口真里の火曜the night」での暴れっぷりを絶賛したら「あれは黒歴史だ!」と恥ずかしがっていたのはいい思い出です。
 繰り返しになりますが、縁の下でグループを支える彼女の存在なしにはヤなことそっとミュートは存在しえませんでした。活動期間中、いろいろ思うこともあったでしょう。ヤナミューを辞めればアイドルは引退。その潔さは、実に彼女らしい。僕の大好きな「ヤなことそっとミュート」というグループを、長く支えてくれたことには感謝しかありません。

レナさんへ

 どの時代のヤなことそっとミュートも好き、ではあるものの、やっぱり一番思い入れが強いのは「間宮まに・なでしこ・南一花・レナ」時代であるのは否定できません。
 彼女は、アイドル界でもトップクラスの「不思議な子」でした。トークイベントで(既にアイドルになって何年も経っているのに)マイクを下ろしたまま話し出してしまう子なんて、彼女ぐらいでしょう。
 ふわふわとした美少女が、激しい曲調のロック系アイドルのメンバーとしてステージに立つ。ギャップ、という言葉では片付けられないほどの差がありました。内気で、歌声も芯がなく、お世辞にも上手いとは言えない。それでも彼女の存在はたしかに「ヤなことそっとミュートという激しいグループに咲いた一輪の花」でした。激しさと繊細さが同居する稀有なグループ、ヤなことそっとミュートにおける繊細さの象徴であったと言えるでしょう。その繊細さゆえに、大学生活とアイドルとの両立が厳しかったのは、残念でなりませんでした。今だから言いますが、二度目の新メンバー加入の際「ひょっとしてレナちゃん復帰しないだろうか」と期待していたことを告白しておきます。
 大きなライブのMCではいつも、ファンやメンバーへの「大きな愛」を語っていたのが印象的です。今、彼女がどこでどうしているかは分かりません。しかし、彼女の人生が幸せで豊かなものであることを、心から祈っています。

凛つかささんへ

 お披露目ライブのことは、よく覚えています。まだ垢抜けていないものの歌声はパワフルで、期待を感じました。ハワイ生まれで英語がペラペラ、趣味はサーフィンというヤナミューらしからぬ個性は、グループの新たな魅力になるのではないかと思いました。しかし、残念ながら、その活動は長く続きませんでした。
 いろいろな点で不運だった、というのが今の印象です。ヤなことそっとミュートが他とは格別なパフォーマンスを発揮し始めた時期の加入で、まったくの素人がそこについていくのは非常に厳しかったでしょう。さらにそこへコロナが追い討ちをかけ、加入からわずか数ヶ月でまともにライブをすることさえできなくなってしまった。中止になったレコ発ツアーさえ回れていたなら、ちがう今があったのではないか、と思わずにはいられません。
 しかし、なによりもヤなことそっとミュートのオーディションに応募してくれたこと、コロナで難しい中、頑張って活動を続けてくれたことに感謝すべきでしょう。彼女にとって、ヤなことそっとミュートでの活動がよい思い出となっていればいい。今はそう願っています。

彩華さんへ

 新メンバーとして彩華さんが加入したときの盛り上がりは忘れられません。いきなり難易度の高いヤナミューの曲を、他のメンバーに遜色ないパフォーマンスで披露したのですから。ライブごとに初披露曲、なんて、本来はめちゃくちゃなこと。それを、軽々と――少なくともファンからはそう見えるように――こなすなんて、すごい、としか言いようがありません。
 また、陰性なヤナミューにおいて、その朗らかな末っ子感は、レナちゃんとはちがった形での「一輪の花」になったように思います。二度目の新メンバー、コロナ、そして現体制終了と難しいことが多かったはずですが、常に笑顔を絶やさないその姿勢は、ファンにとっても救いでした。
 現体制が終わって、ヤなことそっとミュートがどうなるか。彩華さんを中心に第二期を始める、という選択肢もあったはずです。しかし彼女は、それを選ばなかった。僕らが愛するヤなことそっとミュートに殉じてくれた。
 それだけでも、我々ファンは、多大なる感謝を彼女に感じています。

間宮まにさんへ

 なかなか上手く言葉が出てきません。それでもまず浮かぶのは、僕にとって「ヤなことそっとミュートは間宮まにそのものだった」ということです。楽曲や世界観がどれだけ好みでも、間宮まにがいなければ、これだけヤナミューの世界にはまることはなかった。それは、断言できます。
 はじめにライブ映像を見て、なんとなく「この子いいな」と思ったのが間宮さんでした。初現場で、初めてアイドルとツーショットを撮ったのも間宮さん。今から思い返してみると、ヤナミューの特典会で間宮さんとツーショットを撮らなかったことがない――と思ったら、一度だけ、TIFの際に締め切りに間に合わず撮れませんでしたっけ。
 というわけで、ほぼ「ヤナミューの現場数=間宮まにとツーショットを撮った回数」です。毎回、どれだけ間宮列が長かろうと、必ず並んでいた。別に、そのことを誇ろうとも思いません。たぶん、そういう人はけっこう多いんじゃないかな。それだけ彼女が魅力のある人だった、ということです。

 自分のタイムラインを遡っていたら、四年前に唐突に間宮まにの魅力について語っていたので、それをそのまま晒します。

深夜なんで呟くけど、ヤナミュー、間宮まにさんはやっぱ唯一無二のアイドルだろ、と。陰キャの引きこもりで長身細身まな板の腐女子の猫背アイドル。日の当たらない人生を歩いてきて、もう自分に対して諦めてるのに、諦めきれずしがみついている絶望感。細く繊細な歌声と細く折れそうな長い手足。たぶん色々な意味でアイドルから程遠いところにいる彼女がアイドルをしているという奇跡。しかも、ヤナミューっていう頭のネジが数本ぶっ飛んだオルタナロック。ものすごく危うい。儚い。でもその儚さこそが彼女の魅力。それでいて心許したときの笑顔はくっそ可愛いってんだから反則。ずっと推せる。

 そう。彼女はいろいろな意味で、アイドルらしくない。でも、いろいろな意味で、すごいアイドルでもある。特質図がめちゃくちゃピーキー。
 そんな彼女が、アイドルを続けるのは、本当に大変だったと思います。ファンに見せていないだけで、辛いこともいっぱいあったと思います。何度も「お気持ち」に襲われながら、それでも彼女は、アイドルを続けてくれた。歌もダンスもレベルアップし、容姿もどんどん垢抜けていった。コロナの中の自主企画ラジオ「ヤなことFriday」が、あのころの僕にとってどれほど癒しになったか。そう、ファンのためならばめちゃくちゃ頑張る子でもある。ああ見えて。
 彼女はとても、アンバランスで不安定な子です(見た目も、中身も)。そういうところが、推せます。アンバランスでありながらも、必死に頑張る子です。そういうところも、推せます。
 やっぱり、頑張る子は推せるんですよ。Zeppワンマンの「Nostalgia」での涙は、何度見ても、心がぎゅっとなる。

 小話をひとつ。漫画・アニメオタクで「少年少女が意味もなく死んでいくマンガが好き」とのたまう間宮まにさん。あるとき、漫画喫茶でその一推し漫画「なるたる」を一晩で読破したんですよね。いやー、一気読みするとまあ重い重い(笑)なんて鬱になる漫画を紹介するんだ、となったのも、いい思い出(いつか特典会で言おうと思っていて、言いそびれていたので、ここに書いておきます)

 ヤなことそっとミュートの現体制が終わって、新しいメンバーを迎えて第二期が始まるのかもしれません。しかし、そこに間宮まにはいない。どれだけいい曲をリリースしようと、どんなメンバーを入れようと、やっぱり僕は以前のようには推せないでしょう。少なくとも、別物です。
 同時に――本人が目にする可能性があると知ったうえであえて言いますが――ヤなことそっとミュートでない間宮まにをこれまでと同じように推せるのか、それもまた、自信がない。それぐらい、両者の魅力は不可分なものだったから。というより、まだその先のことが想像できない、と表現するほうが正しいでしょうか。
 結局、やっぱり僕は、これを書いている今もまだ「ヤナミューがいない世界=間宮まにがヤナミューではない世界」が来る覚悟ができていないんだと思います。
 その喪失感は、あまりに大きい。裏を返せば、ヤなことそっとミュートと間宮まにと共に歩むことができた六年間は、僕にとって、素晴らしい思い出だった。
 六年間、唯一無二のアイドルでいてくれてありがとう。あと一週間でヤナミューが終わってしまうという今、彼女への一番大きな感情は「感謝」なのだと思います。



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