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自分の仕事のつくり方・稼ぎ方         ~ 京都ライター塾主宰・江角悠子さんへの インタビュー ~


☆ 仕事に対する時流の変化 ☆

以前は、腰を据えて一つのことにじっくり取り組むことや、一社を定年まで勤めあげることなどが良いこととされていました。ですが、その考え方が、少しずつ変化してきました。そこには、企業で副業が大幅に解禁されたり、スマートフォンアプリなどのツールが充実し、オンライン上でも、物販や、得意なことを活かしたセミナーの開催等が容易になったことなども影響しているようです。

働き方の選択肢が増えたとはいえ、何かやってみたい気持ちはあるけれど、お金を貰えるような技術もないし、特にやりたいこともみつからない、といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで、多岐にわたってお仕事している、京都在住のフリーライター・江角悠子さん(以下江角さん)に、自分の仕事の作り方や稼ぎ方のヒントを伺いました。現在、江角さんは、京都でライターとして活躍するほか、大学で非常勤講師を勤め、自身でも京都ライター塾やオンラインサロンを主宰しています。また、プライベートでは、ふたりの子どもを育てる母親でもあり、ヒップホップダンスや旅行を楽しむなど、しっかり余暇も充実させています。どのように、今の理想的な暮らしを叶えたのでしょうか。

☆できること・やりたいことの見つけ方☆

江角さんの京都ライター塾では、自分を理解するための自己分析ノートを書き込むワークを取り入れています。このワークを通して、江角さんが気付いたのは、「皆さんは、自分ができていることに関しては、誰でも出来る当たり前のことだと思って、その才能に気づいてない」ということでした。

江角さん自身も以前は、「文章を書けること」が誰にでもできると思い込んでいたそうです。ですが、コーチングを受ける中で、その先生が、書くことが苦手で苦労していたことから、「書けること」は当たり前ではないことに気づいたという経験がありました。

また、そのように思い込む原因のひとつとして、いつも同じ顔ぶれの人間関係の中にいることがあるようです。「それまで、ライターの仲間や、書くことが得意な人とばかり集っていたので、いかにうまく書くかとか、そういう話ばかりしていました。まわりには、書けて当たり前の人しかいなかったので、書けなくて困っている人がいるとは、思ってもいなかったのです」といいます。

そして、この気づきは、「書き方を伝えることにも需要があるのかもしれないと思って、ライター塾を始めるきっかけにもなりました」と、江角さん。現在8期まで続いている京都ライター塾は、こうして生まれたのです。

江角さんの場合はコーチング受講で、いつもと違う顔ぶれの人と出会い、気づきがありました。そのほかには、どのような方法があるのでしょうか。

「オンラインサロンなどを利用するのもよいのではないでしょうか。私もオンラインサロンを主宰していますが、参加している人は同業者であるライターばかりではなく、いろんな経歴を持った人がいます。そこでやり取りする中で、気づくことはあるかもしれません」。

そして、オンラインサロンを選ぶときは、主宰者が好きだったり、その人に共感できるというような軽い感覚で探すのがコツ。色々なサロンで新しい人間関係に触れてみるのもオススメとのことです。

また、「ゆるくつながる仲間がいることが心地よかったり、 知らない人だから話せることがあったりする」と江角さんもいうように、いつもと違う顔ぶれだからこそ気づくことがあるのかもしれないですね。

それでは、隠れた才能に気づくためにできることはなんでしょうか。

まずは、「好きで長く続けていることが多分そうだと思います。よっぽど好きじゃないと、長くは続けられません。例えば私の場合、本を読めと言われて読むわけではありません。たとえ、やめろと言われても絶対に読むことはやめられないし、読んだり書いたりするのは多分、ライターになっていなくてもやっていると思うのです。そういう趣味みたいなものから探すのも、ひとつの方法かなと思います」とのこと。

☆きちんと稼ぎましょう☆

できることややりたいことが見つかったとしても、対価を貰うことや、たくさん稼ぐことに対して不安を持ってはいませんか。

江角さんも、最初は稼ぐことに罪悪感があったと話します。「書く仕事をさせてもらうだけで、私は好きなことができているので、これ以上ギャラが欲しいということは、すごくわがままを言っているような気がしていました。憧れのライターになれただけで、もう私は満足するべきだと思っていたのです。好きなことで稼ぐなんて、申し訳ないみたいな思いもありました。土日も休みなく働いて、やっと会社員の時代の給料は越えることができたのですが、フリーランスの場合、会社員と同じ給料だと同じ暮らしはできませんし、老後なども考えると、もっと稼がないといけないなぁと考えるようになりました」。

好きなことをして稼ぐことに罪悪感があったという江角さん。そこを突破できたのは、コーチングに行き始め、先生に、好きなことで稼いで何で悪いの?と聞かれたことがきっかけになったといいます。「楽をして稼げたら一番いいじゃないですか。なんでダメなのですか?と聞かれて、たしかにそうだよなぁと思えるようになっていきました」。

また、文章が書けるということが、ひとつの技術であると認識できたことも、大きかったといいます。「私ができるのだから、みんなもできて当然だろうと思っていたところがありましたが、書くことが苦手な人もいると知り、その苦手な人の代わりに書いてあげてお金貰うのだから、別にそこで罪悪感を持たなくてもいいのではないかと思えるようになりました」。ビジネスとしての考え方に切り替えることができたということです。

さらにコーチの先生には、「好きなことをさせてもらってそれでいっぱい稼ぐのもいいと思うし、稼いだら稼いだお金をまた回すことで、豊かになればいいのではないですか」と言われたことも大きな気づきになったそう。コーチングを通して、考え方が大きく変化したことが分かります。

他にも、「考え方は大事で、罪悪感があると お金が入ってこないんですよ」と、ドキッとするような現実も教えてくれました。

そしてきちんと稼ぐためには、「覚悟」が大切だといいます。

「私は未熟だからお金は半額でいいよ、と言ってしまうのは、まだ覚悟がないのかなと思ってしまいます。例えばライターを名乗ったら、初心者もベテランも同じライターです。だから、初心者なので、といい訳せずに、ライターです!と言ってしまう。初心者だから、安いし、許してね、ではなく、プロとして自覚を持って仕事に取り組むこと」と、とても力強く語ってくれました。

そのためにも、「依頼してくれた人に何ができるか」を考えること。自分自身の生活や健康への影響を踏まえて仕事の効率も考えながら、仕事量を増やして稼ぐのではなく、単価を上げる努力をしたりすることも大切だと、実感しているということです。

また、効率よく、長く稼ぎ続けるための時間の管理の大切さも教えてもらいました。江角さんの場合は、出産をきっかけに、短い時間でどうしたら稼ぐことができるかを必死に考えたそうです。その結果、朝型の生活に切り替えたり、平日の 9 時から 5 時を仕事時間と決めてしまい、その中で何ができるかを、手帳に書き出すなどの工夫をしているそうです。その際にも、今日やるべきことを時間割のように考え、細かい時間を無駄にせず、限られた時間をメリハリをつけながら有効活用していることを教えてくれました。

☆まずは一歩から☆

まずは、人間関係など、今の環境を何かひとつ変化させながら、自分自身の価値を見直してみると、違った世界が見えてきそうです。日常生活でも、細かい時間に目を向けて、そこで何かできないかを考えてみると、生活の中にゆとりも生み出せそうです。小さなことから、まずは、何かひとつやってみませんか。



江角悠子(えずみゆうこ)さんプロフィール
京都在住エッセイスト・ライター。
「京都 とっておきの雑貨屋さん」「京都 カフェ日和」など京都関連の書籍のほか、anan、婦人画報といった雑誌でも記事を執筆。ときどき大学講師。12歳男児&6歳女児の母。「書くを仕事に!京都ライター塾」主宰


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