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雷を恐れて天気図を見失う

そんな格言はありません。
一見すると何のこっちゃ分からんという内容ですが、商品企画としても会社員としても大事な話しです。

雷が鳴ると不安になります。
大音量による原始的な恐怖、落雷による感電、停電、家電の故障、急激な大雨など、様々な心配事が一度に押し寄せてきます。
目の前の天候変化に意識が奪われて、その後の天気や翌日の天気には意識が向かいません。
ましてや現在の天候を左右している天気図に意識を向けるのは余程の天気マニアしかいないことでしょう。

さて、雷というと何を想像するでしょう。
近所の口うるさい高齢男性をカミナリオヤジと呼んだのも今は昔、世代間で通じない言葉になっていそうです。
それでも雷が落ちるというと激しい叱責を想像するのは変わりないことでしょう。

雷とは役員や経営陣による激しい叱責、天気図は事業戦略や経営戦略です。
経営陣に激しく叱責を受けている時、叱責そのものに目を向けてしまいます。
短期的な最速の改善は叱責されている内容に対応することだからです。
一方、経営陣が常に意識しているのは経営の状況であって個々の状況ではありません。
気候の変化や気象状況が重要なのであり、雷や雨といった結果ではなく、その原因となっている状態変化にこそ重きを置いているのです。
叱責への対応を意識するか、経営についての視点で考えるかで物事は大きく印象が変わります。
あれだけ激しく叱責されたのに翌日には気にもかけていない、改善の説明をしに行ったら全然違うことを求められた、朝令暮改に見えるこの変化も、自分の居場所の天気を見ているか、天気図から状況変化を追っているかの違いです。
そんな姿は外から見ると分かりやすいこともあり、雨が降ってる中で傘を差さずに叱られたから、翌日の晴天下で傘を差したなんて状況にも映ることがあります。

経営環境は急速に変化しています。
競合も新規参入も代替品も突然のように現れます。
全体を俯瞰して見られる分だけ天気図の方がまだ情報が多いかもしれません。
そんな中で求められるのは経営層に近い視点なのではないでしょうか。
それは役割以上のことを要求するのではありません、役割を満たす為に必要なことなのです。
地域の天気を予報するにも、朝傘を持って家を出るかを判断するにも必要な情報の根源は同じです。
情報が与えられる立場か自ら発信する立場かの違いはあっても、天気の変化に対応できるようにしなければならず、その為に変化を読む手段は天気図という大きな視点なのです。

雷が鳴った時、私達はその音の大きさと激しい光に恐れ慄きます。
まずは己の身を守ることから始まってしまいますが、本当に大事なのは環境を俯瞰した時にどんな気象状況になっており、何が雷を生み出したかなのです。

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