『 』
俺は、今トラックに跳ねられ中に浮いている最中だ。転生系の漫画によくあるパターンだ。
そういう漫画の主人公は何かを買った帰りが定番だろう。俺もそうだ。
そして、その漫画の世界に行けるのも転生系の醍醐味とも言える。
死んでしまうのは名残惜しいが、来世はこの漫画の世界に行けると思うと少し楽しみだ。
そう考えるうちに、俺の体は地面に打ち付けられ、瞼も重くなっていった。
瞼を開けると、そこはどこか暗い場所だった。
なるほど。この漫画の始まりは生まれるところというのか……素晴らしいな。
それならば、周りは何も見えないほど暗く、自分自身動けないのも頷ける。
すると、何かの音の後俺の上から光がさした。
そろそろ新しい俺が産まれ、産声を上げることになるだろう。
俺の体が浮き、見慣れない景色と共に大きな人間が見えた。
そこで俺は疑問を覚えた。
"自分が赤ちゃんにしては人間…でかくないか?"
と。
確かに、前世では赤ちゃんの時の記憶が無いから、大きさの見え方なんてわかるはずがない。
それでも、人間が大きすぎるとわかる。
それとも、俺は小さめの赤ちゃんなのか…?
そこで、俺のいたところを見ると
"イチゴジャム"
と書いてあった。
は?ここは好きな漫画の世界じゃないのか?
俺の頭は疑問で埋め尽くされた。
ふと、俺自身の体を見ていないことに気が付いた。俺の体を見た瞬間、発狂しそうになった。
もし、タイトルをつけるとするならば
『転生したらイチゴの種だった件について』
-終-
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