
今年の夏が終わる
‘’高校生活最後の夏”
今年の夏休みが始まるまではこの一言に
胸を躍らせて、心が輝きに満ちていた。
いざ始まってみたらどうだろうか。
コロナでなかなか思うようにはじけられない。
天気の悪い日が続いて外出さえできない。
外に出たら出たでお店がやってない、バイトもできない、好きなことができない。
みんなそうだと思った。同感してくれると思った。
いざInstagramを開いたら同い年、あるいは年下の友達が東京に行ったり県外に出たり、マスク無しで仲間同士わちゃわちゃしてる尺の短いあの機能を駆使しているのだ。
何故だろうか。
私は県外も出ず、なんなら家すら思ってたより出ることが出来ず、友達もそう多くはないので、憧れていたキラキラした夏を送れていない。あくまで個人的にはの話ではあるけれど。
確かにそれなりに私はわたしでこの夏には昔からやっていることに成果も残すことが出来たし、
楽しいこともできるだけ親の管理下で盗み目を働かせながらやった。やろうともしていた。
もちろんそれなりに嬉しかったし楽しかったのは事実ではある。
しかし、妹のように可愛がって8年を共にした愛兎が虹の橋を渡ってから私のこの夏は味気のないただ蒸し暑いジメジメな日々になってしまった。
たくさん笑えることも、穏やかな気持ちでいれることも、楽しいことに積極的になることもできなくなってしまった。
あんなに大好きだった音楽でさえも新しい情報なんて入手する気力もなくなって、
なんだか楽しそうにしてるあの子たちにも嫉妬してしまって、
遊ぼうよと誘ってくれる友達にも気乗りしなくなってしまって。
心の狭い、窮屈な人間なのかなと自分を責めてはそんなことないよと他人からの言葉を欲しがって。
なんて最低な人間になってしまったのだろうと、考えれば考えるほど頬が濡れる。
そんな蒸し暑い夏もあと、1週間で終わる。
クラスに戻ったら、みんなはどんな夏を過ごしたのか聞いていられなくなりそうだ。