オチもへったくれもない妄想ショートショート
「年取ってまで夫と狭いキャンピングカーなんか嫌やわ。何が悲しくてそんなことせなアカンの、、、笑」とママ友は言う
「そうかな?」
わたしは今そのキャンピングカーの助手席に座り旅をしている。運転席には夫。
200万円で買った中古のキャンピングカー
車内は夫の好きなメキシコ風でキリム柄のファブリックと、キャンプ用品
今日は四万十川まで行く予定
途中、道の駅に寄り美味しそうな現地の食材を買う。レジ横に小さなパックのわらび餅を見つけて購入。夫は甘いものが好きだから運転している時、口に入れてあげよう!四国の海岸線を走りながらBGMはJack Johnson♪
子供たちはお留守番。と言っても誘ってみたが来るわけもない。部活とバイトで大忙し。夫婦水入らずの時間。こんな風に子供たちも手が離れて、念願のキャンピングカーを購入して旅ができるようになるとは、、、しかも夫と。
すっかり白髪もシワも増えて、若いころとは違ってしまっても、その横顔には愛着がある。少し寂しくなった髪も、シミも全部思い出と共にあるし、二人で一緒に年を取ってきた。
昨夜、愛媛で夜に見た鵜飼いを思い出す。松明を灯したボートで鵜を使い漁をする。必死にカメラを構える夫。はぁー平和だな幸せだなと思った。私たちはここまで来るのに沢山のことがあったけど、トータルでは概ね良好だ。
さて、そろそろお昼の時間。目的のおうどんやさんが近いことをナビが知らせる。「腹へったわー」「1玉も2玉も3玉も、同じ値段やからいっぱい食べよ」「ほんまやな!」「ちく天は外されへんな」笑い合う。
さて明日はどこへ向かおうか。その相談はおうどんを食べながらしよう、、、。夫に続いて出汁香る暖簾をくぐる。
おしまい
「いつかキャンピングカーで旅をする」という二人の夢が実現している数年後を妄想して。絶対にもう叶わんのが切ないな。笑 書いてて寂しくなるけど敢えて書いてみる、傷口に塩スタイル!
読んでくれてありがとうございます。