等角螺旋ーアンモナイトー
今回のデザインは「等角螺旋ーアンモナイトー」です。
これ、最初は「黄金比」に関連したデザインにしようと思っていたんですね。そこで、アンモナイトの化石の断面図に、よく見る黄金比の図形を重ねたデザインにするつもりでした。
縦横の長さの比が黄金比の長方形が「黄金長方形」です。
黄金長方形の中の正方形の角の点を繋いで出来る渦巻が「黄金螺旋」。
参考資料を元にざっくりとアンモナイトの絵を描いた後、黄金比の図形を重ねてみたんですが……なんだか上手く重ならない。
「まぁ、アンモナイトも生き物だから、多少の誤差があるのかなぁ」なんて思ったりもしたんですが、デザインのために黄金比の図形を変形するわけにはいきません。
だって「黄金比」ですよ? 数式を元に出来てるんでしょ? 手動で変形してどうするの、って話です。
そこで、アンモナイトの方を黄金比に合うように変形してみると、これもまた、どうにも上手くいかない。
困り果てて、何か参考になる文献はないものかと検索したところ「オウムガイの貝殻は黄金螺旋ではない」という記述を発見。
え? どゆこと? わたしゃてっきり「巻貝=黄金比」だと思ってましたよ?
なんだかよくわからなくなったので整理したところ、
自然界によく見られる螺旋に「対数螺旋」(「等角螺旋」または「ベルヌーイの螺旋」ともいう)というのがある。
「対数螺旋」の一種に、黄金比から成る黄金長方形から作られる「黄金螺旋」がある。
オウムガイの殻の螺旋は確かに「対数螺旋」ではあるものの、「黄金螺旋」だという説には合理的な理由がない(ピッチが合わない)。
ピッチが合わない……? オウムガイがそういうことなら、たぶんアンモナイトも同じなんでしょうね?
ということで、対数螺旋ではあるけど黄金螺旋ではないなら、アンモナイトと黄金螺旋を重ねてみたところで、そりゃ、合わないわけだよ。
だって黄金比じゃないんだもん……アンモナイト😥
ちなみに「パルテノン神殿」とか「ピラミッド」が黄金比だと言うのも(誰が言い出したのか知らないけど)都市伝説らしいです。他にも黄金比だと言われていて、実は正確には違うっていうモノ、いっぱいありそうですねぇ。
こうしてみると自分では気が付いていないだけで、思い違いとか思い込みとか……結構たくさんあるのかもしれない😅
わりと有名な勘違い(?)に「キリンの首が何故長いか」というのがありますね。
「キリンさんが、高い木の草を食べようと一生懸命首を伸ばしたから首が長くなったんだよー」という大人の(適当な?)説明を子供のころに聞いたことのある人もいるかもしれませんが、「個体が生きている間に獲得した形質が遺伝する」というのは、主にラマルクが唱えていた説ですね。つまり「誰かが筋トレをしてムキムキになったら、それは子孫に遺伝する」というわけです。
ラマルク説は、今の常識だと「そんなことあるかいな」というカンジ。「太る体質」とか「背が高い」とかは遺伝っぽいけど、努力で獲得したムキムキの筋肉なんてトレーニングをさぼったら落ちちゃうし、一世代の間にも変化するのに、それが子孫に遺伝するなんて、ちょっと想像しにくいですよね。
それは、今は『ダーウィンの進化論』として知られている説――つまり「突然変異」と「自然淘汰」――が一般的で、そういう考えが染み込んでいるからかもしれません。「首の短いキリンの群れの中に首の長いキリンがたまたま何頭かいたところ、環境が変わって首の長い連中のほうが生存に有利になった(淘汰圧)ので、世代を重ねる間に自然選択により全てのキリンが長い首を持つようになった」というアレです。こっちの説があまりにも定説になったもんで、ラマルクのほうはすっかり「じゃないほう」扱いになった感があるかも。
ところが最近の研究では、ラマルクの言ったような「獲得形質の遺伝」(筋トレ遺伝説)もあるかもしれないという話が出ています。エピジェネティクス(後成遺伝学)と呼ばれるそうです。
科学的に正しいと考えていたことも、時間が経って新しい発見があればガラッと変わってきちゃう。
「昨日の常識は今日の都市伝説」「今日の都市伝説は明日の常識」かもしれないですねぇ。
今回、ひょんなことから黄金比の都市伝説みたいなことを知るに至って、全く疑いもせずに信じ込んでいたのに実際には事実と全然違うことって、結構あるもんだなぁと認識を新たにした次第です。
ちなみにワタシ、デザインするときに黄金比も白銀比もほとんど使ったことはないんだけど……これってどうなのでしょうねぇ😋
このデザインのグッズをSUZURIとTシャツトリニティで販売してます。
よかったら見に来てくださいね〜