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桜庵へようこそ 黒の森からの便り2

翌日、黒の王からの注文品と共にパンさんへの手紙も黒の森へ届いたのだが…

ラビからの返信をもらったパンダ獣人のパンは、嬉しすぎて仕事中にずっとニヤニヤしていてみんなにからかわれたようだ。

「パンちゃんったら、ラビさんに恋しちゃったんじゃないの?」

「あらぁ…

ラビさんには、アーライ神国に婚約者がいるからやめときなさいよ。

パンダ獣人は、パンダ獣人と付き合う方が上手くいくわよ?」

「いいなぁ…

パンちゃん…

私は、ラビさんよりも、店主のデイヴ様のファンなの!

彼、冒険者としても凄腕だったのに愛する奥様が甘党だから和菓子職人になったとウワサよ?

愛妻家っていいわぁ」

黒の王に仕えている獣人の女性達はみんなおしゃべりと甘い物が大好きなのだ。

みんなにからかわれながらも、パンちゃんは一生懸命文章を考えて返事を書いた。

婚約者のいるラビさんに何度もお手紙を書くのは迷惑だと思われるかしら?

でも…

私は、ラビさんに恋してるわけじゃないんだし…

ジュビアの城下町について知りたいだけだから大丈夫だよね?

パンちゃんは、雑貨屋さんと人気のスイーツが食べられるお店に行きたい事とお散歩にピッタリな景色が綺麗なところを教えて欲しいというような内容の手紙を書き終えると、荷物や手紙を配達してくれる黒猫獣人のオジサンに渡した。

◇◇◇◇◇◇◇

翌日、パンちゃんからの返事を受け取ったラビは内容を確認した後、常連のマダムやデイヴの娘であるアリアに相談して、ジュビアの城下町を満喫するツアーの計画書をデイヴに提出するのだった。

その計画書を読んだデイヴの反応はと言えば…

「ラビ、すごく上手にまとめられた計画書だけど…

ひとつ足りない物がある。

それが何だか君に分かるかい?」

「デイヴ様…

足りない物ですか…

良くも悪くも及第点で、面白みがないという事でしょうか?」

ラビは、自らが書き上げた計画書を確認しながらデイヴに問いかける。

「そうだな…

面白みが無いとまではいかないが…

相手の想いの1歩先を見据えた計画というのが必要なんだよ。

言葉にするなら、トキメキ要素が足りないな。

わくわくドキドキが大事なんだよ!

これは和菓子を作る時にも大切なポイントになるから覚えておきなさい」

デイヴは、ラビの肩をポンポンと叩くとテイクアウト用の苺あんみつを器に丁寧に盛り付けていく。

ツヤツヤのあんこの周りを真っ赤な苺で囲むのだ。

この苺あんみつは、季節限定商品なので特に人気がありテイクアウトするお客様も多いのだ。

ラビも、この苺あんみつがお気に入りで苺あんみつが食べられる期間は1日おきに食べている位である。

「デイヴ様!

私も苺あんみつ持ち帰りしてもよいですか?

そうだ!

飲み物と甘味をテイクアウトして、景色の美しい場所で一緒に食べるのもよいですね!

パンさんは、お散歩がお好きみたいなので」

「成程、テイクアウトして外で甘味を楽しむのもよいな。

その調子で色々考えてみたらよい。

彼女が遊びに来るのは明日というわけではないから、来るまでに考えつけばいいんだからね」

「デイヴ様、ありがとうございます。

おかげ様でジュビアの魅力をたっぷりと伝える事が出来そうです。

明日は、アリアさんと一緒に城下町巡りをしてきます!

私の計画書に合わせて行動してみて、どの位時間がかかるのか計ってみたいと思いまして…」

このように、お出かけのリハーサルをしてしまう位に真面目なラビなのです。

しかも、明日のアリアとのリハーサルの為のリハーサルを1人でする為に、苺あんみつを買って景色の良い場所で食べるつもりなんですよね?

ラビ…

慎重過ぎないか?

ラビは、きっと自由気ままな主(アーライ神様)に長く仕えていたから自分はしっかりしなくては!と生真面目になり過ぎたのかもしれないなぁと苦笑いをするデイヴでしだ。

アーライ神様ときたら、仕事を放ったらかしてお忍びで桜庵に和菓子を買いに来たりしますからねぇ。

アーライ神の側仕えだったラビを和菓子職人にする為、デイヴに預ける位に桜庵の和菓子が大好きなんですよ。

さて、本日の桜庵のオススメメニューは…

苺入りの水饅頭と水ようかんの抹茶味、厳選抹茶の贅沢パフェとなっております。

数に限りがありますので、早めのご来店お待ちしております。

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