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忘れるという事

忘れるという事は非常に怖い。
物であれ思い出であれ人であれ何にせよ怖い。
忘れるという事はまるで初めから存在しなかったように思うのだ。

周りが仲良く昔の思い出話をしている中、私はその記憶を思い出すことが出来なくて置いてけぼりにされる。そんな時によく考える。
他人からすればその思い出の中に私は居たのだろうが、私からすると何も無い、虚無である。

小さい頃、どんなおもちゃを宝物のように扱っていたのか。きっと私が思い出している物以外にも沢山あるのだ。思い出していない物を永遠に無くしてしまった様に感じてとても怖い。

人も例外では無い。
例えば、今や主流になっているSNSツール。
その中での交流。それもずっと続くとは限らない。
ネットというのはリアルよりも簡単に縁を切る事が出来るのだ。
消えたアカウント。
データでしか残らないやり取り。
そのデータも永遠に残る訳ではない。
いつかは消える。
そして、そのデータを全部移すことは難しい。
数年、数十年経ってその人とのやり取りを思い出せるのか。少しでも関わった人が私の中で薄れてしまう事がとてつもなく怖い。

記憶は日々薄れていく。
なるべく流れないように。
零れないように。
少しでも長く。
長く。
残したい。

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