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「俺、異世界の通貨になりました。」第六話。

第六話:闇からの来訪者

夜の村は、静寂に包まれていた。だがその静けさの中に、不気味な気配が漂っている。
リオの家もまた、いつもと変わらぬ落ち着きを見せているように見えた。しかし――。

「……おい、リオ!起きろ!」
主人公が心の中で焦りの声を上げる。もちろんリオには聞こえない。
それでも、どこか落ち着かない気分に駆られたのか、リオは眠りから目を覚ました。

「なんだろう、この感じ……」

窓の外をぼんやりと見つめるリオ。微かな月明かりが差し込む中、彼は何かが近づいていることを感じ取った。

〜村の異変〜

翌朝、リオが目を覚ますと、村の様子がいつもと違っていた。道端で人々が何やら話し込んでいる。

「昨夜、黒いフードの連中が村をうろついてたらしいぞ。」
「本当か?一体何をしてたんだ?」

リオはその会話に耳を傾けながら、胸ポケットに手を入れた。主人公は、銅貨の姿のままでそこにいる。

(あいつら……本当に何かを探してるみたいだな。でも、それが俺だとは限らない。いや、そうじゃないことを祈るしかないか。)

村人たちの間では不安が広がっていた。それはリオにも伝染し、何かをしなければならないという焦燥感を煽る。

〜闇の訪問者〜

夕暮れが訪れ、リオが家で夕食をとっている最中、突然、扉が乱暴にノックされた。

「リオ、開けてはいけない!」

母親が低い声でリオを制した。だが、ドアの向こうから男の声が響く。

「ご安心ください。我々は旅の者で、ただ水を少し分けていただけないかと思いまして。」

その声には奇妙な威圧感があり、リオの母親は眉をひそめた。

「申し訳ありませんが、今は応対できません。お引き取りください。」

母親の断固とした態度に、リオは安心しかけた。
しかし、次の瞬間――。

ドンッ!
扉が乱暴に叩かれ、家全体が揺れる。

その時、リオの胸ポケットにいた主人公が急に輝きを放った。

(なんだ、この力……!俺がやらなきゃ、リオとその母親が危ない!)

リオもその異変に気づいた。ポケットから銅貨を取り出すと、その輝きはますます強くなり、リオの手を温かく包み込む。

「な、なんだこれ……?」
リオは驚きながらも、どこか安心感を覚えた。

「おい!お前ら、出てこい!」
扉の向こうで怒声が響く。リオは母親を守ろうと、主人公を強く握りしめた。

突然、家の中が異様な静けさに包まれた。そして、黒いフードの男たちが、なぜか家の外で動きを止めている。

「光……?」

リオが握る主人公の銅貨から放たれる光が、家全体を包み込んでいた。
それはまるで結界のように、外部の闇を寄せつけない力を持っているかのようだった。

(リオ……!俺をもっと信じろ。この力はお前を守るためにあるんだ!)

主人公の心の中の叫びが、どこかでリオの心にも響いたのだろうか。
彼は自然と冷静さを取り戻し、母親の手を取りながらこう言った。

「大丈夫だよ。僕たちは守られてる……この銅貨が、僕たちを守ってくれる。」

〜次への期待〜

やがて、外の男たちは何かに怯えたように退散していった。
主人公の光も徐々に収まり、家の中に静寂が戻った。

「一体、あの人たちは何者なんだろう……?」

リオの呟きに、主人公は心の中で答える。

(俺も知りたい。けど、これだけは確かだ。お前とお前の家族を守るために、俺はもっと強くならないといけない。)

こうして、リオと主人公は新たな決意を胸に秘め、次なる試練へと進んでいく――。

〜次回予告〜
リオと主人公に新たな仲間が加わる?そして黒いフードの男たちの正体が明らかに――!次回、「動き出す運命」をお楽しみに!
           「・・・続く。」

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