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「俺、異世界の通貨になりました。」第七話。

第七話:動き出す運命

朝陽が村に降り注ぎ、昨夜の闇を追い払ったかのように、明るい空気が広がっていた。しかし、リオの胸には依然として不安が渦巻いていた。

「昨夜の奴ら、一体何が目的だったんだろう……」

リオは朝食をとりながらつぶやく。母親も同じことを考えていたが、あえて口には出さない。

リオはポケットから主人公の銅貨を取り出し、まじまじと見つめた。

(俺は昨夜、何かとてつもない力を使った気がする。でも、それは一体……)

主人公もまた、昨夜の出来事を反芻していた。

(昨夜の光……あれは俺の力だったのか?リオを守るために出た力だとしたら、もっと使いこなせるようにならなきゃならない。)

〜村での情報収集〜

リオは母親に「村の様子を見てくる」と告げ、外へ出た。村人たちは昨夜の騒動について話し合っているようだった。

「黒いフードの連中が村を調べ回ってたって噂だ。何を探してたんだろうな。」
「薬屋の店主が何か知ってるらしいぞ。」

その言葉を聞いたリオは薬屋へ向かった。昨夜、主人公を支払った相手が店主だったのだ。

「いらっしゃい……って、またお前か。」
恰幅のいい店主が怪訝そうにリオを見た。

「昨日の連中が何を探していたか、知ってるの?」
リオが尋ねると、店主は一瞬言葉に詰まったが、やがて肩をすくめて答えた。

「さあな。ただ、あいつらは何か特別なものを欲しがってるらしい。」
「特別なもの?」
「ああ。俺も詳しくは知らねえが、とにかく執拗だったぜ。」

店主の言葉を聞き、リオの胸ポケットにいる主人公がざわめいた。

(まさか……俺のことか?いや、そんなはずないだろう。俺はただの銅貨なんだから。)

〜新たな出会い〜

薬屋を出たリオが帰ろうとしたとき、道端でうずくまっている一人の少女を見つけた。ボロボロの服を着た彼女は、空腹で動けない様子だった。

「大丈夫?」
リオが声をかけると、少女はか細い声で答えた。

「……水を……少しだけ……」

リオは持っていた水筒を差し出した。少女は感謝の言葉をつぶやきながら水を飲み、少しだけ顔色を良くした。

「ありがとう……私、アリスっていうの。」
「僕はリオ。大丈夫?家まで送ろうか?」
「家……そんなもの、もうないの。」

アリスの言葉にリオは驚いた。

「じゃあ、一緒に来る?僕の家なら少しは休めるよ。」
アリスは一瞬ためらったが、やがて小さくうなずいた。

〜闇の陰〜

その頃、村の外れに黒いフードをかぶった男たちが集まっていた。

「村の中にあるのは間違いない。だが、まだ手がかりが足りない。」
リーダー格の男が低い声で言う。

「夜の混乱で見失ったが、必ず手がかりを見つけ出す。次の夜にはさらに厳しく調べるぞ。」

彼らの視線は村へと向けられており、再び動き出す準備を進めていた。

〜仲間の始まり〜

リオの家に戻った二人。アリスは初めての温かい食事に目を輝かせていた。

「おいしい……ありがとう。」
「気にしないで。困ったときはお互い様だよ。」

その様子を胸ポケットの主人公も感じ取っていた。

(リオ、お前ってやつは……ほんとに変なやつだな。でも、悪い気分じゃない。)

こうしてリオとアリス、そして主人公は、少しずつ絆を深めていくことになる。だが、外にはまだ闇の影が潜んでいる。

〜次回予告〜

アリスが隠している秘密とは?そして黒いフードの男たちが再び村を襲うとき、リオたちはどう立ち向かうのか――。
次回、「夜襲の危機」をお楽しみに!
             「・・・続く。」

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