【リレー脚本】夏祭りシリーズvol.2「神SUMMER」
著:ぼぶ→松田
【リレー脚本】夏祭りシリーズvol.0の続き。
YAH YAH YAH!!
神様祀る、ここはまさにSUMMER!
祭り囃子で足早にぃぃ!
少し変わった神社で繰り広げる
男と女の現実逃避行
二人は何を思い、何を決めたのか
二人が出会ったのは偶然なのか……必然なのか。
〇登場人物
・男
・女
・神
・神主
〇後編(松田)
●神主、神入り。神主はタバコを吸ったり色々、ガラが悪い。
神主「この神主様はなぁ、てめぇらが祈ってる神さんの声が聞けるんだよー」
神「こいつぁ、信じてねぇなぁ」
神主「そいつぁ、困ったもんだ」
神「いっちょ、信じさせてやるかぁ」
神主「おぉい、神様よぉ、聞こえるかぁ〜?」
神「聞こえねぇなぁ〜?」
神主「カミサマが聞こえねぇってよ〜」
神「告白が成功しますように。だぁ〜とよ」
神主「だったらもっとよ〜? 気迫を込めやがれぃ! 気迫をぉ!」
神「こいつぁ〜だめだ〜、叶えられねぇわ」
神主「残念だったな坊主、てめぇの願いは叶わねぇってよ。出なおしてこい!」
神「晋三! 次だ次ぃ」
神主「よしきた、次ぁなんと可愛い女の子だぜ」
神「晋三よ、そりゃあ、聞き入れてやらにゃあ神の恥。ってもんよ」
神主「おうよ、それでこそこの神社の神さんじゃい!」
神「……晋三よ」
神主「あいわかった」
神「迷子の母よ、現れい!」
神主「嬢ちゃん、あっちを見てみい。母ちゃんが来るぞ」
神「もうはぐれんようにな」
神主「もうはぐれるんじゃねぇぞ〜!」
神「祭りの夜ぁ、大変よのぅ晋三」
●神主、神の部分暗転。男、女入り。
男「拝殿の方から戻ってくる人が多いな」
女「この神社、有名なんですよ」
男「有名?」
女「はい、戻ってくる人の顔を見てください」
男「喜んでる人と、悲しんでる人がいるね」
女「そうなんです、この神社、お願いごとの結果がすぐにわかるんです」
男「どういうことだ?」
女「ここの神主さんが神様と仲が良くて、教えてくれるんです」
男「すごい人がいるんだな」
女「はい」
男「……君は願わなかったのか? その、待ってる人のこと」
女「……願いました」
男「……そうか」
女「でも、諦めきれないんですよね」
男「行ってみないか?」
女「え? 屋台とか、回りましょうよ」
男「いや、行ってみよう」
女「あ、ほら、金魚すくいですよっ」
男「君、本当はまだ願ってないんだね」
女「え?」
男「本当のことを知るのが怖いんじゃないのかな」
女「そんな」
男「これからもずっと待ち続けるのか?」
女「……」
男「行って、みないか?」
女「……でしたら、貴方もちゃんとお願いをしてくださいね」
男「なにを?」
女「次に向かえるように。きっと、貴方の好きだった人も望んでると思います」
男「……そうだな」
女「約束ですよ」
男「……約束」
●神主、神の部分明転
神主「さぁ、次だ、来たぞ」
神「おうよ! さぁ、願えい」
●男と女は参拝する
神「おおう……おうおう……」
神主「どうしたぁ! おい、おめぇら何願ったんだ」
男「え?」
神主「ウチの神さんが困っとるけぇ!」
女「神様が?」
男「願いに戸惑ってるって……」
神「晋三、よせやい」
神主「どうした、困ってるよだが」
神「あぁ、こいつらの願いが同じでな」
男「叶えられないのか?」
女「お願いします」
神「おめぇら! 自分の願いを言えい!」
神主「自分の願いを言え」
男「自分の?」
女「もしかして、貴方も」
男「……君も?」
神「晋三、こいつら互いに互いの願いが叶うようにって願いやがった」
神主「久しぶりだな」
神「あぁ、久しぶりよのぅ、他人の願いが叶うようにって言葉は」
男「なんで、言わなかったんだ?」
女「貴方こそ、なんで」
神主「おめぇら!」
男「は、はい!」
神主「ここに来る必要はねぇようだ、神さんも言ってるぞ」
神「あぁ、自力で解決できる問題さ」
神主「その願いは自分たちでどうにか出来るさ」
女「自分たちで?」
男「……あぁ、自分でどうにかしなきゃならないよな」
神「また来な。小さい願いならなんでも叶えてやる。一回だけな」
神主「お前ら、また来てみるといい。神さんに気に入られたようだ」
男「帰るか」
女「はい」
●神、神主暗転
男「神様に願ってないで、自分で解決しなきゃならなかったな」
女「はい。そうでしたね」
男「ここの神主さん」
女「ちょっと怖かった、ですか?」
男「ははは、そうそう」
女「でもいい人なんですよ」
男「そうみたいだ」
女「ええ」
男「また来年、ここの祭りに来ませんか」
女「一緒に?」
男「……無理にとは言わないが」
女「いいえ、是非、ご一緒しましょうね」
男「じゃあ、屋台を回ろうか」
女「はいっ。そうしますかっ」
END
ぜひ、他の脚本と読み比べてみてください!!
山田:夏祭りシリーズvol.1「歩む」
大島:夏祭りシリーズvol.3「そして煙草の匂いは残り続ける。」
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