会社のボールペンをすべて、JETSTREAMに変えたい。
この1ヵ月の間に、2本のボールペンのインクがなくなった。あまりに綺麗になくなったので、社内で声高に報告し、さらに写真をとって早々にコミュニティのSlackにアップした。「その芯はJETSTREAMですか?」という特定班も現れて、それはそれは楽しい時間を共有した。それまではよかった。
いま私は別のボールペンを持って、書類に書き込みをしている。本来会社で支給されているボールペンがあるのだが、私は「JETSTREAMしか使いません!」という偏愛ぶりを発揮し、私物のボールペンで仕事をしていた。しかし、インクが切れては使えない。替え芯は家にある。早く家に帰りたい。ベストパフォーマンスを発揮するために、一度帰らせてくれ。
仕方なく会社の備品棚からボールペンを拝借し、のろのろと仕事に戻る。筆がのらないのは、このペンのせいだろうか。弘法 筆をえらばずというが、さすがにモチベーションは変わるはずだ。ため息をつきながら、もくもくと仕事を進めていると、画期的なアイデアを思いついた。
そうだ、備品をJETSTREAMに変えればいいのだ。
福利厚生として提案するのだ、JETSTREAMが使い放題だと。JETSTREAMがあれば、なんでもかんでもメモしたくなるし、ミスとか防げそうじゃないか。私はそうだ。
そもそも私が入社したときから、ボールペンの選択肢はあるようでなかった。入社して数日後、気になって事務用品のカタログを見たときに、あるボールペンの写真に大きく丸が付けられていた。これはそういうことなのだろうか。これしかダメだぞ、的なことか。
どうせ会社の判断基準は値段に決まっている。某事務用品のサイトで価格を調べたところ、やはりそうだった。1本で40円も違う。JETSTREAMは40円も高かった。例えば、某ボールペンが100円だった場合に、JETSTREAMは140円。10本買った場合は400円の差が出る。ため息。
私だったら40円の差など気にせずに買う。だって、私は文具大好きウーマンだ。だけど他の人の感覚はまた違う。たかが文具と思っている人には、40円の差は大きいはずだ。どうしたものか。
問題は自分のこだわりをどこまで職場に持ち込むかということ。
ぶっちゃけJETSTREAM普及活動は私のためでしかない。まごうことなき事実である。そして、こだわりにはきりがない。できれば紙だって白みが少ないものがいいし、赤ボールペンのインクの彩度も上げたい。
自分がご機嫌に働くために環境を整えるのは、とてもとても大事なことだけど、全体として変えるのは難しいことなのかもしれない。なぜなら大半の人は、文具にそれほど興味がないからだ。
それでもだ、それでも私は備品をすべてJETSTREAMに変えたいのだ。
「文具にこだわっているのはあなたしかいない、1人のために変えるわけにはいきません。」とド正論で言われれば負ける。勝算も具体的な作戦もいまのところない。あるのはJETSTREAMに対する強い執着だけだ。
だから、次の面談では会社への要望欄にそっと「備品をJETSTREAMに変えてほしい」と書こうと思っている。叶うか叶わないかは別の話だから、意思くらいは伝えておきたい。変わり者好きな社長が面白がって採用してくれることを祈りながら、12月の面談をホクホクと待つことにした。