「投げたボールが箱で返って来るラリー」⑫
普段生活していると、あまりにも当たり前すぎて言葉のやり取りに無頓着になっている気がしませんか?本当に、会話は成り立っているのでしょうか?見ていきましょう。
ボールを「ことば」に見立てる。
ひだり君がボールの「ことば」をみぎ君に投げます。みぎ君は箱の「ことば」をひだり君に投げます。ひだり君は、ボールの「ことば」をみぎ君に投げます。みぎ君は、箱の「ことば」をひだり君に投げます。
こんなやり取りになっていますね。
例えばこんな「ことば」を入れてみます。
【ひだり君】今日、一緒に映画見に行かない?
【みぎ君】僕の靴下しらない?
【ひだり君】最近話題の映画だし。一応、押さえておきたいなと。
【みぎ君】さっきから探してて見つからないんだよ。
こんな感じですね。これ、家の中だと結構あるあるな気がします。家族間での会話っぽいですよね。どちらも、相手の話を聞いていないっていう…(笑)お互いが自分の言いたい事だけを言って、対話が成立しているかのように振舞っている状態。実際は、対話は成立していないんですけどね。家族だと、なんとなく相手に向かって声を掛けているので、対話している気分になります(笑)
これ、家族間ならまだしも、仕事上だとどんな会話になるんでしょうか?例えば、こんな「ことば」を入れてみます。
【ひだり君】さっき頼んだ件、どこまで進んでる?
【みぎ君】あ、部長の承認が欲しい件あるんすけど。
【ひだり君】さっきの件は、急ぎだから。先方と話は出来たの?
【みぎ君】あの、この書類お願いします。
これも、お互いに言いたい事だけ言い合い、話が噛み合っていない様子です。この場合、どんな風に話は展開していくんでしょうね。
①まず、上司が部下の書類を受け取って、「さっきの件」について話し始めるパターン
②まず、上司が部下の書類を受け取って、「さっきの件」について部下に状況を聞くパターン
③まず、上司が部下の書類を受け取って、「さっきの件」について部下の意見を話してもらうパターン
④まず、上司が部下の書類を受け取って、承認をしたものを部下に戻してから「さっきの件」の話に戻るパターン
⑤上司が部下の書類を受取らず、「さっきの件」の話を続けるパターン
さて、あなたはどのパターンが考えられるでしょうか?ほかにはどんなパターンがあるのでしょうか?それぞれの展開が違ってくるのが予想されます。どんな展開が繰り広げられるでしょう。そんなことも考えさせれます。
ボールを「本音」に見立てる。
今度は、ボールを「本音」に見立ててみます。
【ひだり君】みぎ君に対して「本音」で話しかけます。
【みぎ君】ひだり君へ「本音」を箱に入れて、返事を返します。
【ひだり君】みぎ君に対して「本音」で話しかけます。
【みぎ君】ひだり君へ「本音」を箱に入れて返事を返します。
「本音と建て前」という言葉を思い出しました。本音で話しているのだから、本音で返してほしい、本音同士で話し合えたらいいなぁと思います。でも、本音で話し合えるってなかなか難しいものですよねぇ…。
こちらが「本音」で話していても、相手が同じように対等に向き合ってくれるとは限りません。何か対等な関係になれない状況や条件があるのかもしれません。「本音」を隠して会話を続けるって事は、相手に対して隠したい理由があるという事。例えば、相手に何か便宜を図ってもらいたい事があるから、嫌われないように機嫌を取るとか。例えば、相手が嫌いだから、関係性を近づけたくないとか…。
4コマ漫画では、お互いの表情は穏やかだったり、険悪な感じはしないので、「本音」を隠すのは関係性が出来上がっていないだけなのか?そのあたり、あなたはどんな風に読み解きますか?
ボールを「モノ」に置き換えて見ると。
今度は、ボールを「おすそ分け」に見立ててみます。
【ひだり君】たくさん頂いた「大根」をおすそ分けとして送ります。
【みぎ君】ありがとう♪代わりに頂き物の「ゆず」を返しました。
【ひだり君】たくさん頂いた「さつまいも」をおすそ分けとして送ります。
【みぎ君】ありがとう♪代わりに家にあった「だしパック」を返しました。
そんなシチュエーション。たくさん頂き物があると、おすそ分けとしてご近所に配ったりしますね。そんな様子が見て取れます。例えば、田舎から箱でリンゴがたくさん送られてきたとか。みかんの箱が届いたから、普段お世話になっているご近所さんにおすそ分けしようとか。
こういうやりとりは、なんだかほっとします。昔は、こういうご近所付き合いって当たり前にありました。今はどうなんでしょう。ご近所付き合い、していますか?減っていますか?
あなたは、ボールを「何に」置き換えますか?
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