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風花 朋(Kazahana Tomo)
2022年1月30日 13:57
冬に想う、夏のうだるような暑さ、容赦なく照りつける日差し、鳴きやむことのない蝉の声、草いきれのこもる道、夕立のあとのアスファルトの匂い、夜空に煌めく大輪の花。そのすべてが狂おしいほど恋しい。暑さで皆が少しずつおかしくなってしまうような。匂い立つ濃密な闇。なにかが起こりそうで、でも結局なにも起こらないまま終わる夏。胸がぎゅっと締めつけられるようなあの空気感。あの中にいますぐ戻りたいと、そう願う。
2021年7月4日 14:59
いつものお店でお昼を食べる。顔馴染みの店員さんたちとの他愛もない会話。食事を終え、図書館に寄り、その後軽く買い物もすませ歩いて帰る道の途中、真ん中に大きな池をたたえた公園の横を通り過ぎようとして、何とはなしに、その池のほとりをぐるりと一回りしてみることにした。初夏の蒸し暑さのなか、木々の緑は日に日にその色の濃さを増してゆく。穏やかにたゆたう水面を噴水のしぶきが細かく揺らしている。そこへ太陽の光
2020年4月16日 23:52
普通の、何気ない日常が、いまやとてつもなく貴重で尊いものになってしまった。当たり前は、もはや当たり前ではなくなった。メディアに踊らされ過ぎだと言う人もいるけれど、やはり今は考えずにはいられない。わかっていても、目に入るニュースや、通勤電車に乗る人々の緊張感や、何も変化のない職場の勤務体制などが、私の心を疲弊させていく。しかしこんな状況でも、花が咲き誇っていれば、その艶やかな美しさに