37「詩」風
ひとがいる
そのひとのこころは分からない
分からないけれど隣にいる
隣にいると
理由も分からないけれど
悲しい気持ちがつたわってくる
そのひとの苦しさがつたわってくると
どうしたら苦しさが減ってくれるか
そればかり考える
なんにもできない
でも
考える
いつの間に
そのひとの悲しみは
自分の悲しみに変わる
理由の分からない悲しみが
わたしの隣のひとにつたわり
みんなの悲しみに変わっていく
みんなの悲しみはやがて
暖かな風になる
今年初めて咲いた花の香を編んで
昨日から明日に駆け抜ける
暖かな風になる
ひとがいる
ひとがいると不思議な風が
吹き始める
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