132「詩」木になりたい
もし
もう一度生まれてくることがあったら
私は木になりたい
原生林の中に佇む一本の木になりたい
人間世界から遠く離れ
人間世界があることすら知らない場所で
陽の光に感謝しながら伸びていきたい
人間の見栄や嫉みや嫉妬なんか知らない所で
風の詩を葉脈に刻みながら
枝先に小鳥を宿す
欲のために無意味な争いをする世界なんて
知らない所で
生きるために必要な分だけ栄養を身体に貯める
栄養を作り出した大地は
人間が生まれるずっと前から
この星を知っている
秋には誰かに見てもらうことなく
美しく色づいた葉っぱを
惜しげもなく地面に落とす
小さな生き物たちは
私の葉っぱの中で冬を越す
私は木になりたい