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69「詩」御神木
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山中湖にほど近い浅間神社の境内にいる
鳥居を入り口に神さまの領域が始まる
「おじゃまします」
神さまの領域を守るように
十数本の御神木が立っている
すごいなぁ
45メートルある
いったいなにを見てきたんだろう
いったいなにを考えてきたんだろう
この幹のなかに途方もない時間を蓄え
今の世界をどんなふうに見ているのだろう
樹は空の高みに枝を伸ばし
渡してもらった神さまからの手紙を
そのまま幹を滑らせ地面に届けている
この領域に立つと
わたしの足元に一通の手紙が届く
手に取ろうとした瞬間
わたしのなかの要らないものが土に吸い込まれ
するりと
木の根っこから幹をつたい空の高みに
消えていった
空っぽになったわたし
45メートル上から
どんなふうに見えるのだろう