54「詩」真夏の昼下がり
真夏の昼下がり
雲を高い梢で編んでみた
ざっくりした網目の
空の三分の一ほどの
網が出来上がる
両手を高く差し出し
無造作に端っこを掴む
それから
思い切り力を込めて
成層圏に届くように放ってみる
網にかかるのは大量のトビウオだ
これからどうなるかなんて考えていない
これからどうなるかなんて考えても仕方ない
ただ飛んで泳いでいる
トビウオが食べているのは
人間の陰の部分だ
意地悪だったり悪意だったり
嫉妬だったり虚栄心だったり
本当は生きるために必要のないものを
お腹いっぱいに食べて
網目から
するりと抜けていった
真夏の昼下がりの出来事だ
梢は焼けつくような風を受けながら
何事もなかったように
触手のような枝に付いた葉っぱを
黒々とした輝きで染めている
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昨日はアルバイトのかたが急にお休みしたので残業でした。トイレに2度ほど大急ぎで行く他は7時間近くもレジに立ち続けていました。途切れないお客様ひとりひとりお声がけし、喉もカラカラ。お金を得るのはなかなか大変なことです。
そんな事をしながら、ほんの僅かお客様が途切れた時間に頭の中では少しずつ言葉を紡いでいました。
レジの後にある大きな窓からは真夏の空が見えました。