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4「詩」冬華


(冬華)     —東山魁夷の絵のための1作-

じさまのじさまがうえた木
のうえで もつれたしじま
とかれてゆくとかれてゆく
もつれたこずえ もつれた
かなしいきおくとが
からんで

とかれてゆくとかれてゆく
じさまはじさまは とうに
しんだ じさまのじさまの
しわがもつれて

一本の木に
白い花の咲く頃
薄絹の奥に
昼日が
うろこのような光を放っていた



1980年頃
当時あった商業詩誌「詩芸術」に掲載していただいた1作です。「天性的な言葉の音に対する才能を感じる」みたいな講評をいただいたと記憶しています。そんな立派な才能は私にはありませんが、それでも、講評の言葉がずっと大きな支えになっています。
東山魁夷さんの絵画「冬華」に似たお写真を偶然みつけたので、もう一度この作品を。

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