メンター0年生、メンタリングの失敗からスタート地点に立つ #4 (東工大EDP)
さくらインターネット株式会社の瀧本です。
昨年、東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト(以下EDP)という、学生と社会人学生がチームを組み「デザイン思考」を活用して、イノベーション創出に取り組む授業にパートナー企業として参加しました。
今回が最後の参加レポートです。
EDPが始まった当初は、手探りでチームのメンタリングを行なっていましたが、活動を通してデザイン思考やEDPにおけるメンタリングの理解を深めていきました。
私の担当するチームは、ユーザーの課題をなかなか捉えきれず、モチベーションが下がっているように感じました。メンターとして何かできないかと考えるものの、初心者の私には明確な答えが出せず、ぐるぐる悩みます。
登場人物
私
ピカピカのメンター0年生。
学生・社会人学生
私がメンターを担当したチームの学生・社会人学生。
東工大の先生・さくらインターネットの協力者
周囲の人々。
チームの雰囲気はピリピリし、メンターの胃はキリキリする
1月9日(土) EDP授業6回目
緊急事態宣言が発令され、パートナー企業は遠隔で授業に参加しました。私のチームは、中間発表でソリューションが「No Go」となったため大きな転換が必要でした。しかし、方向性がなかなか定まりません。
「プロトタイプがユーザーにささっている」という前提で検証しているため、決め手となる情報を得られていないようでした。時間がない焦りもあってか、チームに暗雲が立ち込めます。
私自身、どうすればこの状況を良くできるのかわからず、ピリピリした雰囲気の中でメンターとしてチームに向き合うことに疲れてしまいました。一旦チームを離れて心のHPを回復し、最後の力を振り絞ってインタビュー設計を手伝い、この日は力尽きました。
学生のインタビューに変化が起き始める
1月7日(木) 〜2月4日(木)
1月に入ってから、インタビューに明らかな変化を感じるようになりました。ユーザーから興味深いエピソードやユニークな行動を聞くようになったのです。
インタビューは、チームのアイデアを確認するものから、何としてもユーザーから情報を聞き出そうとする学生たちの気迫が伝わるものに変わっていました。
突然の変化に驚きましたが、時間がなくユーザーの課題を捉えきれない状況が、ユーザーへの関心に繋がり、結果的にインタビューの内容が変わったのかなと思いました。
これまでのチームの苦労が報われたようで嬉しくなり、インタビュー後に素直な感想を伝えました。
時間が足りずユーザーテストができない
1月7日(木) 〜2月4日(木)
インタビューで得られた情報をもとに、ターゲットユーザーが絞り込まれていきました。しかし、最終発表まで時間がないことや、ユーザーがシフト制で働いていることから、学生からユーザーテストの依頼を受けても調整しづらかったです。
チーム活動がうまくいかない状況と慣れない調整作業が続き、心が折れそうになりました。一方で、学生の希望に応えようと協力してくれた当社のオペレーターや同僚には本当に助けられ、周囲のありがたみも感じました。
チームはヒートアップし、メンターは灰になる
1月22日(月)〜2月6日(土)
最終発表まで残り2週間。チームが最後の追い込みをかける中、アイデアをめぐって意見の対立が起きました。話を聞いていると、ユーザーの課題を解決するよりも、自分たちのアイデアの検証に力が働いているようにみえました。
チームに踏み込む必要性を感じましたが、ビデオ通話やチャットからは現場の状況がわからず躊躇してしまいました。その代わり、周囲の先生がチームのサポートをしてくださり、無事に全員で最終発表を迎えられました。
この状態になる前に、もう少しチームのサポートをできたのではないか。私にとっては心残りのあるEDPとなりました。
まとめ
当社のテーマはコロナの影響もあり、現地での観察や対面でのインタビューができず、活動しにくい状況にありました。にもかかわらず、最後まで諦めずテーマに向き合ってくれた学生に感謝したいです。また、チームが最後までやり遂げられたのは、周囲の人たちのサポートや協力があったからだと思います。
一方で、私はメンターとしての役割を果たせず、反省点が多く残りました。この失敗から、EDPにおけるメンターとは、チームメンバーに寄り添って、活動に迷った時に対話をして選択肢を提供したり、客観的な考えを伝える人だという結論に至りました。
実は、今年度のEDPにもパートナー企業の一員として参加する機会をいただきました。昨年の大きな反省点を活かすチャンスだと思い、もう一度メンターとしてチャレンジしています。
—おまけ—
この授業を通して「エンジニアリング思考」や「デザイン思考」はとても大事ですが、その手法をいかすにはチームづくりがポイントになるように思いました。
今回の失敗や、普段の仕事をふりかえり、失敗から学んだ「理想的なチーム」になるために必要なことというレポートをまとめています。