【日本全国写真紀行】 26 神奈川県足柄下郡湯河原町福浦
神奈川県足柄下郡湯河原町福浦
ある洋画家が惚れた小さな漁港
洋画家・中川一政(1893-1991)が描いた『福浦突堤』という作品を観たことがある。漁港に面した山の斜面に並ぶ家々と赤い灯台と突堤が印象的に描かれ、風景画には似つかわしくない躍動感という言葉がぴったりする迫力ある作品だった。この絵画が描かれたのが、真鶴半島の西側の付け根のところにある福浦という小さな漁港だ。
中川一政は、五十六歳の時に真鶴にアトリエをもち、約二十年間福浦漁港に通って絵を描き続けた。地元の漁師たちは、いつも同じ場所で絵を描いている中川を見て「岸壁の上の杭」とうわさしていたといわれる。
ひとりの洋画家が心底惚れた福浦漁港に足を運んでみた。真鶴駅のある高台から急勾配の細い坂道を下っていくと、ほどなく目の前に海が広がる。さらに歩をすすめると、たしかに絵画に描かれた岸壁と灯台があった。港は思っていたよりも小さい。海に背を向けて山側を見れば、切り立った斜面に家がぎっしりと並んでいる。
※『ふるさと再発見の旅 関東』産業編集センター/編より一部抜粋
他の写真はこちらでご覧いただけます。↓
神奈川県足柄下郡湯河原町福浦をはじめ、神奈川、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京に残る懐かしい風景が多数掲載されている書籍『ふるさと再発見の旅 関東』が2022年4月13日に発売されました。ご購入のご予約はお近くの書店、もしくはこちらから↓
旅ブックスMAGAZINEには「日本全国写真紀行」以外にも旅に関する連載記事やコラムが充実! 毎週月・木曜日に記事を公開しています。
フォローをよろしくお願いいたします!!