【過去問解説】第32回 柔道整復師国家試験(午前)
【2024/12/07 更新】このアカウントは鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・言語聴覚士などの国家試験対策の覚え方のコツ・ノウハウ・ゴロ合わせなどをお伝えしています。
【Back Number】
▶第32回午前 ▶第32回午後
▶第31回午前 ▶第31回午後
▶第30回午前 ▶第30回午後
▶第29回午前 ▶第29回午後
▶第28回午前 ▶第28回午後
1問1問を徹底的に本当に徹底的に解説しているので、派生問題が出てきてもかなりの確率でわかると思います。
ただスマホでざーっと読んでいても頭には残りにくいので、ぜひ別途メモ帳に回答を書きながら、読み進めてみてください。
第32回 柔道整復師国家試験
引用:https://www.zaijusei.com/doc/2024_32_gozen.pdf
※各問題に関しては、上記の公式サイトからご確認下さい。
問題001 解説
【解説】
嘉納師範は、柔道修⾏の目的は
▶攻撃・防御の練習によって⾝体を鍛練して強健する
▶精神の修養につとめて⼈格の完成をはかる
▶社会に貢献する
であると⽰されています。
参考:https://www.ntu.ac.jp/teikajudo/club/pdf/kodokan_history_j.pdf
問題002 解説
【解説】個人情報保護法で、個人を特定できるものについては同意が必要となります。
受傷部位を文字のみで開示しても個人を特定できないため不要です。
それ以外は個人の特定につながるため同意が必要となります。
例:上腕骨外科頚骨折の患者
と書きながらもよくわからないのは、負傷日時のみだけでも個人特定できない気がします。
例:2024/12/02 上腕骨外科頚骨折骨折
問題003 解説
【解説】医療事故調査制度について勉強をしておきましょう。
【医療事故調査制度】
▶平成26年6月18日に成立
▶医療法の改正に盛り込まれた制度
制度施行:平成27年10月1日
▶医療事故が発生した医療機関において院内調査を行う。
▶収集は民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が行う。
【医療事故調査制度に該当する医療事故】
管理者が予想しなかった死亡または死産
上記以外の医療事故では調査対象とはなりません。
問題004 解説
【解説】実際に被害はまだ生じていないが放っておいたらいずれ医療事故につながるものをインシデントといいます。
1. 患者が医療施設内で転倒し負傷した。
→医療事故
2. 医療的準則に従わず患者に被害が生じた。
→医療事故
3. 医療行為によって不測の事態が予測された。
→インシデント
4. 医療行為によって医療従事者に被害が生じた。
→医療事故
【インシデント】
日常診療の場で、誤った医療行為などに実施される前に発見されたもの。あるいは、誤った医療行為が実施されたが、結果として患者に影響を及ぼすに至らなかったもの。
(厚生労働省HPからの引用)
問題005 解説
【解説】仕事中のものは労災保険です。通勤中・退勤中も労災認定されます。
問題006 解説
【解説】4. 柔道整復師による療養費は国民医療費に含まれます。
【国民医療費に含まれないもの】
保険診療の対象ではない費用
▶評価療養(先進医療など)
▶選定療養(差額ベッド代・歯科の金属材料)
▶不妊治療における生殖補助治療 ▶正常な妊娠・分娩・産褥
▶美容整形
▶健康診断・検診・予防接種(人間ドック)
▶買薬
▶医師の指示以外によるあん摩・マッサージ等
▶介護保険法における訪問介護
来年に向けて少し勉強をしていきましょう。
おそらく出しやすいのは、「▶不妊治療における生殖補助治療」です。
上記は令和4年4月以降は国民保険医療費の対象となります。
そして、柔道整復師・はり・きゆうは一部国民医療費の適用が受けられます。
参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/21/dl/kokumin_hani.pdf
問題007 解説
【解説】鎖骨骨折の整復はほぼ毎年出題されています。
そのためかなり細かいところまで覚えておく必要がありますので今のうちから勉強をしておきましょう。
1. 患者の観察 ◯
2. 患肢の保持 ◯
3. 上方転位の除去 ✘
鎖骨骨折の整復では二人の助手を用いて整復を行います。
一人は、短縮転位、もう一人は下方転位を取り除きます。
4. 胸を張る姿勢の保持 ◯
→脊柱部に膝頭を当てて、胸を張らせます。
なんとなく鎖骨骨折をイメージすると、鎖骨が上方に飛び出ているようなイメージですので、上方転位と勘違いしがちですね。
実際は遠位骨片は下方転位を起こしています。
【鎖骨骨折の座位整復法】
[患者]
正座または椅子に腰かける
[第1助手]
患者の後方に位置する
脊柱部に膝頭を当てがう
両脇に手を入れて両肩を外後方へ引く
(短縮転位を取り除く)
[第2助手]
患肢の上腕・前腕を把握
上腕と肩甲骨を上外方に持ち上げる
遠位骨片を近位骨片に近づける
(下方転位を取り除く)
[術者]
両骨折端を両手で把握し遠位骨片を近位骨片に圧迫
問題008 解説
【解説】鎖骨骨折の固定の1つであるセイヤー絆創膏固定法は鎖骨骨折でも出題され、このように単独で出題されることも多々あります。
1. 腋窩枕子は末梢牽引の梃子の支点にする。
2. 第1帯は鎖骨の短縮転位を防止する。
3. 第2帯は遠位骨片の上方転位を防止する。✘
→下方転位
4. 第3帯は骨折部を圧迫する。
この問題…さっきのと同じ引掛けやん…
転位は下方やて…
セイヤー絆創膏固定法の全体は下記を確認しながら覚え直しておきましょう。
【セイヤー絆創膏固定法の概要】
▶転位の少ないものに使われる
▶絆創膏:3~4cm幅・伸縮性のないもの
【腋窩枕子の役割】
末梢牽引を行うためのテコの支点の働き
【第1帯の役割】
肩を外方に引き鎖骨の短縮転位を防止する
【第2帯の役割】
患肢を挙上させて下方転位を防止する
【第3帯の役割】
前腕の重量で骨折部に圧迫力を加える
【セイヤー固定法】
[腋窩枕子]
患側腋窩に綿塊を入れ肩関節を内転
遠位骨片を外方へ牽引
[第1帯]
患側上腕中央部の前面から後ろに回る
背部を水平に進んで健側の側胸部に止める
[第2帯]
健側の肩から胸部を斜めに下行して患側の肘を通り背部を上行してはじめの位置へと戻る
[第3帯]
骨折部近位骨片の上から下行して前腕を回る。
前胸部で絆創膏を捻転する
最初に貼付した絆創膏に重ねながら再び上行して元の位置で固定
問題009 解説
【解説】
1. 前外方凸の変形がみられる。✘
→前内方凸の変形
重要なポイントは下記のところです。
【上腕骨外科頚骨折の症状】
▶骨折血腫著明
▶肩関節は血腫のために腫脹
▶外転型骨折の患部は肩関節前方脱臼に類似の外観
(※脱臼時にみられる三角筋の膨隆消失は認められない。)
▶皮下出血斑は経過とともに上腕内側部から前胸部に出現
▶骨折部は筋層の深部に位置
▶機能障害著明
▶外科頸部の限局性圧痛著明
[骨軸の変化]
▶外転型骨折:骨幹軸の骨折端部は内方へ
▶内転型骨折:骨幹軸の骨折端部は外方へ
[外転型骨折]
近位骨片:軽度内転
遠位骨片:軽度外転
遠位骨折端:前内上方へ転位
骨折部:前内方凸の変形
肩峰と大結節との間隔は広くなる
上腕軸外転
[内転型骨折]
近位骨片:軽度外転・外旋位
遠位骨片:軽度内転
遠位骨折端:前外上方へ転位
骨折部:前外方凸の変形
肩峰・大結節は接近
上腕軸内転
問題010 解説
【解説】
1. 肩関節内旋位で固定する。✘
肩関節:外転 70°
水平屈曲 30~45°
2. U字副子を使用する。✘
【上腕骨骨幹部骨折で用いられるもの】
▶ギプス副子
▶合成樹脂
▶クラーメル副子固定法
▶外転副子
▶ミッデルドルフ三角副子
✗ファンクショナルブレース
など
3. 固定期間は3~5週とする。 △
固定自体は約4週とされています。
間違っていると言い切れないような…
4. 初期安静期を過ぎると機能的装具の適用となる。 ◯
▶ファンクショナルブレースなどを使用する
【三角筋付着部よりも近位での骨折】
[急性期]
肩関節:0°~軽度外転位
肩関節部から手関節まで固定
[安定期]
徐々に外転位を強めて肩関節の拘縮予防に努める
【三角筋付着部より遠位での骨折】
肩関節:外転 70°
水平屈曲 30~45°
肘関節:直角位
前 腕:回内回外中間位
無料記事も多数用意しております。 役に立ったと感じましたらチップもお待ちしております。