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わかりやすい腰痛の知識
【2022/04/24 更新】このアカウントは、セラピスト・パーソナルトレーナー・インストラクター目線で使える本の要約・考察を行っています。
【臨床医学総論】
⏩ 腰痛の知識
腰痛って奥深い。
今回は、腰痛の最低限の知識をゴリゴリに盛り込みました。
腰痛の定義とは
腰痛とは疾患の名前ではなく、腰部を主とした痛みやはりなどの不快感といった症状の総称です。一般的に坐骨神経痛を代表とする下肢の症状を伴う場合も含みます。腰痛は誰もが経験しうる痛みです。
(厚生労働省HPより)
疫学的には腰痛は障害で成人の約80%が経験すると言われています。
罹患者の1/3は1ヶ月以内に完治し、1/3は1~5ヶ月以内・1/3は6ヶ月以上症状が継続します。
平成25年度版生活基礎調査を見ると男性が8.9%、女性で11.7%で腰痛を訴えている。
生活基礎調査では、女性は肩こりが一番多いとありますが数値だけで見ると、腰痛を訴える割合は1000人中でみても男性よりも多いことがわかります。
特異性腰痛と非特異性腰痛
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医師の診察及び画像の検査で腰痛の原因を特定できるものを特異的腰痛(特異性腰痛)と言います。
逆に厳密に原因が特定できないものを非特異的腰痛(非特異性腰痛)と言います。
原因が特定できる特異的腰痛でもっとも代表的なものは椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄などが挙げられます。
【特異性腰痛による分類】
脊椎由来:腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・変性脊椎すべり症など
神経由来:脊髄損傷・馬尾損傷
内蔵由来:尿路結石・腎盂腎炎・子宮内膜症など
血管由来:腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤など
心因性:うつ病・ヒステリーなど
では特異的腰痛と非特異的腰痛の割合ですが、下肢症状を伴わない腰痛である場合、約85%は原因が不明と言われている。
腰痛の危険因子について
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腰痛になる原因として4つ挙げられている
【腰痛の危険因子】
不活動性
禁煙
労働環境
心理的要因
【不活動性】
基礎科学的研究では抵抗運動・有酸素運動が関節軟骨・靭帯・腱などに対して有益な効果を与えるとあります。
逆に不活動性は骨格筋系に対して悪影響を与えると報告されています。
上記のことから身体フィットネスレベルの低下は腰痛発症の重要な危険因子の1つと考えられています。
クライアントに伝えるのであれば
「生活がどんどん便利になっていってあんまり体を動かさなくなってきたから、自発的に適度な運動しましょうね。」って感じです。
【禁煙】
喫煙者は禁煙者に比べて腰痛症状が重篤であると報告がある。
腰痛の症状を見てみると、喫煙者と非喫煙者で分けた場合、喫煙者のほうがペインスケールが大きかったり、症状が長引いたりする率が高いということです。
原因として考えられるのが
▶椎間板への栄養供給の阻害
▶肺機能の低下による酸素運搬機能の低下
▶その事によって先程のフィットネスレベルの低下
また喫煙者によっては喘息発作なども発症し、それにより椎間内圧が増加して腰痛になるという報告もあります。
【労働環境】
従来から肉体労働作業時の振動が腰椎の原因となることが知られている。
よく巷で売られているブルブルマシーン(台の上に乗ると台が揺れて体に振動を与える機械)が腰痛などの改善に役に立つとか謳われていますが、実際のところ過度な振動は腰痛の原因となります。
原因としては振動がコラーゲン組織の疲労性破綻を促進するためです。
ただ労働環境という大きなくくりで言えば、重機などの振動によるものだけでなく医療従事者(看護師・介護福祉士など)の腰痛も多くなってきています。
患者の介助の際に、前屈動作のみならず前屈動作とともに体幹の回旋を行う動作を繰り返すため、椎体関節に捻転力を与え過剰な負荷をもたらすため椎間板を損傷させると考えられています。
【心理的要因】
腰痛を生物学的な損傷や解剖学的異常ではなく「生物・心理・社会的疼痛症候群」による症状と位置づける考え方がある。
これは医道の日本(Vol73)でも取り上げられております。
腰痛が発生した際に急性期であれば予後が良好であることを伝え、安心させることと過剰な安静を薦めないほうが良いとされています。
慢性期であれば心理的な要因を主体として捉え、運動療法に加えて集学的アプローチや整形外科だけで完結せず心療内科・精神科などの複数の医師が連携するリエゾン療法などが良好な結果をもたらすと報告されています。
Nachemson氏による報告では下記のような非特異性腰痛症のガイドラインが設けられている。
【急性・亜急性疼痛】
▶患者を安心させる
▶活動を維持するよう助言
▶安静臥床は薦めない
【慢性疼痛】
▶物理療法は薦めない
▶薬物療法・徒手療法は短期間に限る
▶エクササイズをすすめる
▶認知行動療法・集学的治療が良い
今回のまとめ
▶男女ごとで約1割の人が腰痛を患っている
▶腰痛には特異性腰痛と非特異性腰痛がある
▶危険因子は大きく分けて4つある
本当に基礎的なところからじわじわ解説をしていこうと思っております。
気になった方は定期購読もよろしくお願いいたします。
【参考文献等】
平成30度度 厚生労働白書
平成25年度 生活基礎調査
医道の日本 Vol73
DeyoRA.Weinstein JN:Lowbackpain NEngl J Med:363-370
Nachemson A:Epidmiology and the economics of low back pain
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