因習村へ…
導入
ある冒険の帰りにジュルクーンに立ち寄ったキャラクターたち。既に日は暮れかけて、ダガーフォードまで帰ることは出来ないのでジュルクーンに一晩の宿を求めることになった。
村に宿はないので村長の家に泊めて貰うことにしたのだが、その代償として村長から依頼されたのは、村人が恐れて手を出さない、“呪われた祠”を破壊して欲しい……というものだった。
背景
(DM用情報)
ダガーフォードからほど近いが、山を越えるか河を遡らないと行けない不便な場所にあるため、一向に栄えない集落ジュルクーン。この村では最近、村にふらりと現れたひとりの香具師が村長の息子に甘い言葉を囁いていた。
曰く、『こんなに良い村なのに貧しさに喘いでいるなんてもったいない! わたしが村興ししてみせよう。なあに、簡単なことだ。この村で何か冒険の匂いを嗅ぎつければ、連中はこぞってやって来る。そうしたら村営の酒場を作ってやるだけで、いい儲けになるぜ!』
しかし何ら危険なこともない、周囲に遺跡や洞窟のひとつもない集落のジュルクーンに、そんな魅力(?)などあるはずもない。
そこで香具師が提案したのが『外部の者が村に古くから伝わるという祠を壊したために、村が呪われてしまった!』という筋書きである。
『あとはソーマタージーか何かを使って、村に来た初級の冒険者たちを脅かせば良い。噂が噂を呼んで、酒場にどんどん金を落とすぞ!』という香具師の言葉に村長親子は乗せられ、言われるがままに偽物の祠を作り外部の人間がふらりと村に立ち寄るのを待った。そんな折り、キャラクターたちが村を訪れる……。
ジュルクーンにて
ある依頼の帰りにジュルクーンに立ち寄ったキャラクターたち。山を越えるか川を下るかしないとダガーフォードに帰ることが出来ない。
ジュルクーンには宿はなく、村人に話をすると『それだったら、村長の家に泊めて貰うと良いべ。ちょうどお前ぇさん方みたいな旅人に頼みてえことがあるって言ってただ』と言われる。
村は古くから存在するのか、奇妙な風習……因習が公然と行われておりキャラクターたちは閉口するが、野宿するよりはマシということで村長宅に向かう。
途中で見掛ける因習4つに関しては、4d6して以下の『因習創作表』を振り、創作せよ。
実は4つの因習のうち、3つは偽物の因習であり、残る1つだけがこの村に昔から伝わる因習である。DMはどれが本物の因習なのか決定し、3つの偽因習のうち、ひとつだけ大事な役目を果たすものがあるので、それを決めよ。それらはプレイヤーたちに伏せておく必要がある。
本物の因習と、偽物だが大事な因習を決めたら、以下の文章をそのまま読むか、適宜変更して読み上げよ。
キャラクターたちがラオグゼドに疑問を持った場合、難易度18の【知力】〈宗教〉判定に成功すると、トログロダイトの飢えの神で属性は混沌にして悪であると判明する。
それを村長に告げると「わたしも詳しいことは判らないのですが、昔から? 村にある祠なのですが、最近あの祠から強い腐敗臭が漂っていて…」と言う。
村人は祠に近づくのを避けており、キャラクターたちには大まかな位置しか伝えてくれない(「村外れの大木にある祠だよ」程度の情報)。
ラオグゼド? の祠
村外れの大木の根本に、たいそう古く見える祠が存在し、祠の周辺は魚の腐敗臭がしている。祠の石の一部を調べると、天上語と奈落語で、「決して動かしてはいけない」と記されているが、キャラクターたちが祠を破壊しても、特にこれといった変化が起きた様子はない。村に戻ると、村長は今までの態度とは打って変わって明るい態度で、家に招き入れてくれる。
深夜の怪異
深夜になると、何らかの強い腐敗臭で目が覚める。難易度14の【判断力】〈看破〉チェックに成功したキャラクターは、それが今までの魚の腐敗臭ではなく、肉の腐る悪臭であることに気付く。
村長の家を出て村に出ると、3体の見慣れない怪物が村人を襲っている場面に遭遇する。その怪物は羽根のないバフォメットのような姿をしており、動物的な怒りが病的なかたちで受肉した、おぞましい姿をしている。彼らはキャラクターたちを見ると襲い掛かって来る。
ブレザウ3体と戦闘。
戦闘が終わり、村人たちの介抱をしていると村長が『お前ら、もしかして、楡の大木の方の祠壊さんかったか?』と訊いてくる。
そんな話をしていると、村人のひとりが『村長―。たいへんじゃー。なんとビックリ、楡の社が壊されちょるー』と棒読みで飛び込んで来る。
すると村長は大層驚いた様子で『そいつはビックリじゃあ。お前ら“大事な祠”の方を壊してしもうたんかー! 本当はあっちの…』と言って村外れの気付かない場所にある祠を指差し、『祠を壊して欲しかったんじゃが、間違いは誰にでもある。いやあ、参った、参った。こりゃあ一大事じゃあ! ま、それはともかく今夜は遅いから寝ていきんしゃい。お疲れ様、お疲れ様』と言い、あっけらかんとしている。
村人たちの思惑
村民たちは総出で『さあさあ、今夜はもう遅いから!』と言ってキャラクターたちを部屋に押し込めようとする。抵抗する場合、難易度20の【筋力】〈運動〉判定に成功しなければならず、失敗すると部屋に押し込められて軟禁されてしまう。
抵抗に成功した場合→『二度目の怪異』へ
部屋の外からは何らかの声が聞こえて来るので難易度12の【判断力】〈知覚〉判定に成功すると、村長親子が扉の外で『父さん、うまく行きそうだね』、『おいおい、連中に聞こえるぞ。でも、ああいう手合は騙されやすくて助かる』などとほくそ笑んでいるのが聞こえる。
『でも、運良く怪物が現れたせいでリアリティが出たよね』と息子。
それに対し『いやもう、あれには流石に驚いた』と村長の笑い声が聞こえる。
二度目の怪異
すると今度はまた迫真の演技で『たいへんじゃあ! トーマスのところの死んだ爺様が生き返って歩き回っとる!』という声が響く。
村長親子は目を白黒させながらキャラクターたちに『おおお…お前ら、本当にあの“偽物の祠”を壊す以外、何もしちょらんじゃろうな!?』と問い詰めて来るが、すぐに態度を改めて『あ、いや。祠を壊した弊害が起きたんじゃから、お前らがなんとかせんか!』と言う。
ディブク1体との戦闘。
村長親子は「まさかトーマスのところの爺さんがこんな怪物になるなんて……」と怯え切っている。
難易度10の【魅力】〈威圧〉、或いは難易度12の【魅力】〈説得〉に成功すると、村長は諦めた顔をして、何もかも白状する。
以下の文章をそのまま読むか、適宜変更して読み上げよ。
根堀り葉掘り喋って貰おう
Q.ストラグルって誰?
A.最近村にやってきたヤクザもの。村長の息子・リチャードと意気投合して、今回の事件を画策した。真の目的は不明。
Q.村長はアビスを知っているの?
A.ストラグルの脚本のままに言っただけ。「洞窟のこと?」程度にしか思っていない。
Q.どうやって収益化する予定だったの?
A.ストラグルは村営の酒場をどうとか言っていた。程度の浅知恵。
Q.因習は作られたものなの?
A.殆どは作られた風習であり、いやいや演じていた。(DM用情報)実はこの押し付けられた因習のうちのひとつと、昔からの因習の組み合わせが、アビスとの扉を開く鍵になっていた。
ストラグルに会おう!
村人たちによると、村から1マイルほど離れた小さな洞窟にストラグルはキャンプを張っているとのこと。わかりにくい場所なので、村人のひとりが案内に着いて来る。
キャラクターたちが洞窟に行くと、そこにストラグルの姿はないが、洞窟の中ほどに不思議なポータルが開いているのが見える。
難易度14の【知力】〈魔法学〉判定に成功すると、そのポータルは今は不安定な状態だが、次第に広がりつつあることが判明する。
また、難易度10の【知力】〈魔法学〉判定に成功したキャラクターがいるか、その場にディテクト・マジックの魔法をかけると、魔法円が破壊されていることに気付く。
案内に着いて来た村人はそれを聞くと、「そういえば、この洞窟から石を持っていって偽物の祠を作ったんです」と言う。
門を閉じよう
ここに元々置いてあった要石には、天上語と奈落語が記されているので、キャラクターたちが“何か文字が刻まれていた石が怪しい”ことに気付けば、どの石が要石だったのかすぐに判る。
キャラクターたちが要石を調べるのを忘れていたり、石に文字が刻まれていたことを忘れていた場合、祠に使われた全ての石を手当たり次第に運ぶ必要がある。
その場合、難易度13の【筋力】〈運動〉判定に成功すれば速やかに石を運び終えることができるが、失敗した場合、ポータルをくぐり抜けて来た新たな敵と戦わねばならない。
ブレザウx2と戦闘になる。データは以前のものを使うように。
要石を、村人の記憶に頼り元の場所に戻すと、ポータルが今よりも不安定になるが、閉じる気配はない。
この時点で、村に伝わる風習と新たに持ち込まれたうち大事な風習をやめるように説得していれば、明け方にはポータルは完全に閉じる。もし二つの風習をやめていなかった場合、ポータルは燻りながら残り続ける。モンスターが出てくるには狭すぎるが、村人はそれに怯えながら生き続けるだろう。
ストラグルはどこに?
結局ストラグルはキャンプ地に帰ってくることはない。ポータルを開くという目的を果たしたので、キャンプ地を後にしたのだろう。
今後はどうなる?
ストラグルはデーモンの崇拝者で、アビスに続く門を開こうと画策していた。門が閉じられたことを知れば、何らかの方法で復讐に来るかもしれない。……が、それはまた別のお話……。