
モンテディオ山形SDGsコーナー体験記 vol.6 5月16日 vs 愛媛FC
"見えない世界"を体験
前節のユニバーサル・スポーツ体験コーナーでご縁のできたNPO法人東北リレーションシップとの共同プロジェクトが実施されました。
視覚に障がいのある方5人にご協力いただき、皆で一緒に「見えない世界」を体験・感じるという企画です。やることは極めてシンプルです。目の見える私たちはアイマスクをし、彼らと一緒にスタジアム公園内を散策するというものです。たったこれだけのことで、さまざまな感情・気づきが生まれ、それを参加者同士でシェアしたりすることでより深い体験となりました。
私も実際にアイマスクをして歩いてみました。思った以上に体がこわばって上手く歩けません。先導してくれる方の声を聴こうと耳をすませ、歩いている方向を感じようとするのですが、いろいろな音(イベント案内のアナウンスや流れている音楽など)が聞こえてきて、上手くいきません。地面がアスファルトから砂利道、芝生に変わるたびにドキッとしたりもしました。
また、アイマスクを外して視覚障害のある方をリードする役もやってみました。
自分の歩くスピードと彼らのスピードが違ったり、彼らに伝えようとする情報(スタジアム内の風景や、足元の注意など)が的確に言葉にならなかったりして、かえって彼らを不安にさせているのではないかと思ったりもしました。
参加していた方々にも感想を聞いてみました。「自分がアイマスクしたときは急に歩くの遅くなったけど、目の見えない人の歩くスピードって意外に早い」という率直な声や、「人それぞれ必要としている情報が違うから、彼らが何を知りたいかを確認してから伝えていかないと、適切なサポートはできないと感じた」といった声もありました。
音と言葉でサッカー観戦
公園内散策のあとは、彼らと一緒にサッカー観戦をしました。
フリーアナウンサーの松浦亜弥さんにもご協力を頂き、試合状況を伝えてもらいながらの観戦です。こちらも、スタジアム内の音(応援クラップ・手拍子などがずっと鳴らされています)によって、意外に説明の声が聞き取りにくいこともわかりました。
それでも、モンテディオの先制ゴールのシーンには、一同大喜びで思わずハイタッチを交わしました。
以前から「目の不自由な方にもスタジアムでサッカーを楽しんでもらいたい」と思って、いい方法はないかと考えていましたがようやく実現できました。今後はイヤホンやその他器具を整備したり、サッカーをより魅力的・わかりやすく伝えるために、彼らの欲する情報を深く理解していくことに取り組みたいと思っています。
そして何より、今回の収穫は「一緒にやる・一緒に観る」ことの大切さを改めて実感したことです。彼らに対して特別な場所や設備を提供するのではなく、そういった環境を作りながら一緒に時間を過ごすことが、私たちの取組む「障がいのあるなしに関わらず一緒にスポーツを楽しむ社会づくり」の本質であると確信もしました。
7月には「将棋の街・天童」にふさわしい「ブラインド・将棋/囲碁」を楽しむイベントを実施します。将棋や囲碁の世界においては「目が見えるか否か」はハンディにならないそうです。(先日私もブラインド囲碁に挑戦しましたが、目の見えない方に完敗でした)
触覚・空間認知能力・記憶力など彼らの持つ「視覚以外の機能のすごさ」に驚きます。たまたま目が見えないだけで、他の能力は私より数段優れているのだと思い知らされたくらいです。
本当にいろいろなことを感じることができる機会ですから、ぜひご参加いただきたいと思っています。
体験をきっかけに一歩先へ
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社新書 伊藤亜紗)を読むと、この日私が体験・感じたことについての理解が深まります。
私たちは、本来日常生活の中で障がいのある方々と一緒に暮らしています。たまたま接する機会が多いか少ないかの違いであって、共存していることには間違いはないのです。しかしながら「共に過ごす時間が少ない」がゆえに無知であったり、誤解があったりしているのだということにも気づきます。
スタジアムで体験したことに、少しだけ知識をインプットして、それを日常生活の中に生かしていけるようになりたい、そのきっかけの場所を作りたいと思っています。
今後は企業ぐるみで参加体験しながら、「社員研修・コミュニケーション研修」等にも役立てていただきたいと思っています。
さまざまなチャレンジをしていきますので、引き続き楽しみにしていてください。
モンテディオ山形
営業部 神村昌志
●SDGsパートナー
株式会社エコスタイル
株式会社Kanatta
株式会社チェンジ・ザ・ワールド
豊島株式会社
株式会社ポチくる
株式会社笑子
イーレックス株式会社
株式会社ミズサワセミコンダクタ
●ユニバーサルスポーツパートナー
株式会社庄内クリエート工業