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なんで東大を受けたのか

東京大学出身、という言葉を少しずつ使わなくなってきた社会人二年目。
今ならフラットに「なんで東大受けたの?」という問いに答えられる気がして、文章にしてみます。

前提、私は出身が岐阜で、小中は大学附属、高校は県立の高校でした。両親は学校の先生でしたが、勉強しろとは一言も言われたことはなく、やりたければやったらいいよと自由にさせてくれた親だったなと思います。新しいもの好き、教えたがりな両親だったからこそ好奇心強めに育ったなと思います。

もともと私は、計算がすごく苦手で勉強はどちらかと言えば苦手な小学生でした。読書はたくさんしていて、計算ドリルと漢字ドリルは6周くらいするところに謎のこだわりを持っていたものの、6年生のころは割り算ができなくて泣いていました笑

そんな私が、1年浪人してまで、(浪人の秋までE判定だったし)東大を受けるきっかけはそんなに大きなものではありませんでした。

きっかけは、歩いていた女性

東大に入ろう、と思ったきっかけは、
高校2年生の時に担任の先生に誘われた、高校主催の「at東大」という東大を見学するツアーでした。担任の先生は進路指導室の先生だったので、おそらく頭数を増やすためだったんじゃないかなと思いつつ、友達と東京に行くことにちょっとワクワクして申し込みました。
そこでみた本郷キャンパス、東大の先輩たちはもちろんかっこよかったのですが、その後向かった霞ヶ関見学が私には決定打でした。
霞ヶ関、なんとなく国の色々が決まる場所であるという知識でしかありませんでしたが、そこで自信を持って歩いていく知的な女性を見て、当時の私は強烈にかっこいいと思ったのです。
何か言葉を交わしたわけでもありません。
ただその人たちを見ただけだったけど、その時確かに「私もこうなりたい」と思って、担任の先生に「どうしたらああなれますか」と聞きました。「東大に入ったら一番近道だよ」と言われたので目指すことにしたというのが背景です。
東大に入った先で理想を持つことができ、その手段として「東大に入る」ということがあると捉えられたから、自分にとってある意味東大を目指すのは自然なことでした。

歴史の入試問題面白すぎ

もう一つ、東大受験を続けられた理由があります。それは東大の社会の入試勉強を続けたいと思ったことです。
私は日本史世界史選択でしたが、東大の入試問題は、単語の記憶を問われるわけではなく、ストーリーを答えるのです。
・香辛料がどう世界を揺るがしたのか。
・なぜ当時の政権はこのような判断を下したのか。
・この資料は何を表しているのか
何百年、何千年も前の社会を想像し、そのストーリーを理解して、今に通ずる部分を考えたりして勉強を進める時間が本当に楽しかったのです。

もちろんめちゃくちゃ難しいし、同期はできすぎて辛いし、答案を見てくれる先生には迷惑しかかけていませんでしたが。
でも「やっぱりこの勉強面白いんだよな〜」と思えたことは、「やっぱりそんな問題を出す大学って面白そうだよな〜」とモチベーションを維持することにつながっていました。

浪人までした理由は、意地

現役ではかすりもしなかった私は、浪人するとしても志望校を下げるよう提案されました。
ただ、私は東大以外を受けるつもりは全くありませんでした。理由は「行くって言っちゃったから」です。
今思い返してもよくわからない思考ですね。
でも、意地になっていたんだと思います。
そしてそんな私を信じてくれた母、家族がいたから謎に持っていた意地を貫けたんだと思います。
まったく事実的な裏付けがないのに信じてくれた家族には、本当に感謝しているし尊敬しています。

目的を見据え、でもとらわれすぎずに目の前に集中する

まとめると、私が分不相応の東大を目指したのは
・東大に入った先の未来に憧れるきっかけがあったから
・面白い勉強があり、それを問題として出す大学に対する興味を持ち続けられたから
・謎の自信を家族が信じてくれたから
という3点があったからだと思います。

さらにその目的にあまりとらわれていませんでした。
あまり多くは考えすぎず、「ただ決めたことを日々やる」に集中しないと病みそうだったので笑
とても受験の日々は今思い返してもあり得ないくらい頑張っていたし大変だったけど、きっかけや頑張れた理由はそこまで立派なものがあったわけではないかもしれません。

今世の中にはいろいろな教育の形があって、子どもたちが積むべき経験は少し飽和してしまっているというか。なんとなく食傷気味になっている気もします。
東大を出て苦労したこともすごく多いし、みんなが東大を目指すべきだとは全くもって思いません。でも受験を通して、目的を見据えて、目の前に集中するということを学べたことは心底良かったと思っています。

おせっかいとして

子供が東大を目指している親御さんには、その頑張るプロセスを見て、美味しいご飯を作って、息抜きを一緒に楽しんであげてもらえたらと思います。東大を目指している人はきっと頑張り方も自分なりのものがあるし、頑張れていない時は自分でそのことがわかりすぎて自分で勝手に追い詰めるので。

東大を目指している人は、勉強的なアドバイスは全くできませんが。
私は東大に入って心から良かったと思っているのは、同じくらい勉強が好きで、真面目で、ほっとする仲間たちと出会えたことです。学問の最前線に立っている教授の授業を受けられたことです。
自分が見える世界の広さと深さを確かに広げてもらいました。誰でも得られるものではないそれを勝ち取るために頑張ることは、人生において半端なく価値があることだと思います。
私は東大模試のたびに心が折れていましたが笑 やると決めた自分を信じて、毎日できることを全力で積み重ねてもらえたらと思います。

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